歯科医師&歯科衛生士のためのマウスピース矯正入門 New Edition
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16 マウスピース矯正は、もともと米国の大学生が「マウスピースで歯列を治せないか」と考え、独自にマウスピースを加工して作ったのが始まりとされています。3Dプリンターを使用して理想の歯列になるように段階的にマウスピースを作製し、交換したことで歯列が改善したそうです。 本項ではマウスピース矯正の概論として、アライナーの利点や欠点、痛みの程度や期間についてお伝えします。矯正装置の特徴を理解して、個々の患者さんに合った矯正治療を提案できるようになりましょう。 マウスピース矯正には、利点だけではなく欠点もあります(表1)。それぞれをしっかり説明しておかないと、患者さんはよいことばかりに目を向けて治療を始めると、途中で「こんなはずではなかった」と治療を放棄してしまうこともあります。もちろん、欠点ばかりではないので、正しい知識を身につけて患者さんに伝えましょう。1.利点:清掃性のよさ 歯科衛生士の立場からマウスピース矯正をお勧めする最大の理由は、「清掃性のよさ」です。成人矯正治療における矯正装置は、大きく分類するとワイヤー矯正の唇側矯正装置と舌側矯正装置、マウスピース矯正のアライナーに分けられます。なかでも可撤式であるアライナーは、圧倒的にセルフケアを行いやすいのです。 叢生などに対して矯正治療を行う患者さんは、磨きにくい歯並びに加えてブラケットやワイヤーといった矯正装置を装着すると、その周りにプラークが滞留して急速に脱灰が進むことがあります。みなさんは、矯正治療後にブラケットを外したとき、窓枠のように脱灰した悲しい歯面を見たことはありませんか? マウスピース矯正では、食事と歯磨きのときはアライナーを外せます(図1)。そのため、歯ブラシに加えてデンタルフロスや歯間ブラシ、ワンタフトブラシなどを、矯正治療開始前と同じように使用できます。 また、矯正治療中に歯の移動が進むと歯間空隙ができ(図2)、いままで挟まらなかったところに食物残渣が入り込むことがあります。こうした場合も、コンタクトロスした部位に歯間ブラシを使用できます。アライナーを外してセルフケアグッズを使えるのは、患者さんにとってストレスフリーで、大きなメリットといえます。2.欠点:唾液の循環が悪くなる 清掃性がよいマウスピース矯正ですが、だからといってう蝕にならないわけではあり 利点と欠点を理解することの重要性マウスピース矯正の利点・欠点─ 痛みの伝え方2

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