16*アライナー(aligner):歯を動かすマウスピース型の矯正装置 みなさんは、患者さんから“マウスピース矯正”について質問を受けたことはありますか? 昨今は患者さん自ら「マウスピースで矯正治療をしたい」と来院することもあるほど、その知名度は高まっています。私はマウスピース矯正を深く学びたいと思い、自身でも治療を経験しました。1.マウスピース矯正とは? マウスピース矯正は、薄く透明なカスタムメイドのマウスピース(アライナー*)を一定時間装着することにより、徐々に歯並びを治す矯正治療で、アライナー矯正とも呼ばれています。代表的なものでは、米国製のインビザライン(アライン・テクノロジー)、クリアコレクト(ストローマン)、日本製のアソアライナー(アソインターナショナル)、トランスクリア(ジーシーオルソリー)などがあります。 世界には数百種類ものマウスピース矯正装置があるといわれており、それぞれの利点や欠点を踏まえたうえで扱う必要があります。本書では、そのなかでもわが国で多く選ばれているインビザラインを取り上げ、基本的な情報を解説します。2.インビザラインとは? インビザラインは、1997年に米国のアライン・テクノロジー社により開発された薄く透明なマウスピース型の矯正装置です。アライナー(aligner)とは、英語のAlign=「並べる」が語源で、わが国では2006年2月に販売が開始され、2025年6月時点で世界で2,000万人以上の患者さんに用いられています。 1つのアライナーで最大0.25㎜まで歯を動かせるように設計されており、1週間ごとに新しいアライナーに交換します。0.25㎜といわれてもあまりピンとこないかもしれませんが、身近なものではコピー用紙1枚の厚みが約0.1㎜ですから、そのおよそ2.5枚分です。 インビザラインの適応症は年々拡大しています。わが国に導入された当時の適応症は軽度の叢生や後戻りの症例と考えられていましたが、いまでは大臼歯を動かす治療も可能になっています。一般的に歯性の不正咬合には適応できますが、骨格性の不正咬合には不適応です。また、抜歯を伴う症例にも適応できるようになりつつありますが、抜歯後に近心傾斜を起こしやすく、一時的にワイヤー矯正でのリカバリーが必要になる可能 矯正治療の新たな選択肢マウスピース矯正とは
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