近年、歯科医院で管理栄養士を雇用する動きが全国的に広がっています。う蝕や歯周病といった口腔疾患の予防だけでなく、患者の全身の健康を見据えた診療を行うためには、栄養の視点が欠かせません。そのため、歯科医師の間でも「食」から健康を支える取り組みへの関心が高まり、管理栄養士の力を取り入れたいと考える歯科医院が増えています。 一方で、歯科医院における管理栄養士の活動内容は、歯科医院の規模や診療方針によって大きく異なります。栄養指導や生活習慣支援、口腔機能発達支援、口腔機能低下症や医療的ケア児への対応、教育としての食育など、そのかかわり方は多岐にわたりますが、雇用の実態や具体的な業務内容を体系的にまとめた資料や書籍は、これまでほとんど存在しませんでした。管理栄養士がどのように歯科の現場で活躍しているのか、その実際を共有することが、今まさに求められています。 本別冊は、そうした背景を踏まえて企画されました。管理栄養士を採用し、その専門性を生かした取り組みを実践している歯科医院を全国から取り上げ、「歯科における管理栄養士の活躍の“いま”」を、さまざまな角度から紹介することを目的としています。各医院の取り組みをとおして、管理栄養士がどのように歯科チームの一員として機能し、子どもから高齢者まで幅広い世代の健康を支えているのかを、具体的に示していきます。 また、実際に歯科医師と管理栄養士が意見を交わした座談会や、現場で活躍する管理栄養士の声、そして取り組み事例の紹介をもとに構成されています。現場で生まれたリアルな工夫や課題、成功のプロセスを共有することで、これから管理栄養士を採用・活用しようとする歯科医院にとって、実践的なヒントとなることを願っています。 歯科と栄養が連携することで、患者の「食べる力」を支え「健康に生きる力」を育むことができます。本書が、歯科医療に新たな価値をもたらす管理栄養士の役割を再確認し、より多くの医療従事者が協働して地域の健康を支えていくための一助となることを心より願っております。 最後に、企画趣旨に深くご賛同くださり、構想から刊行まで温かく導いてくださった株式会社デンタルダイヤモンド社の小野寺学様、山口徹朗様に心より感謝申し上げます。刊行にあたって2025年12月編集委員を代表して 中野 崇
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