歯科医療専門弁護士 小畑 真の歯科事件簿3 医院運営・リスク管理編
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053CASE 12 本質から考えるIOS使用の法的境界線 便利さの裏にある“見えにくいリスク” 近年、歯科医療のデジタル化が進み、2024年改定で保険収載され、徐々に普及しつつあるIOSを用いた光学印象採得ですが、私たち歯科医師は、便利さの裏に隠れた法的問題に目を向ける必要があります。 光学印象採得は、印象材を使った従来の印象採得よりも患者さんの負担が少なく、よりスピーディにデータを取得できるうえ、石膏などの医療廃棄物が不要になることから、環境にもやさしいという利点があります。さらに、材料の変形やエラーが少なく、操作が直感的で修正や確認が容易です。 そのため、「機械でスキャンするだけだから簡単」と、歯科医療行為ではなくただの作業だと捉えて、有資格者以外でも扱えると誤解されることがあります。実際、そのような説明をしている業者がいたり、歯科助手にIOSによる光学印象採得を行わせている歯科医院もあるという話も耳にします。 しかし、本当に、誰でも使用してよいものなのでしょうか。 印象採得は歯科医療行為 ここで重要なのは、印象採得は歯科医療行為に該当するため、「歯科医師」(歯科医師法17条)または歯科医師の指示を受けた「歯科衛生士」(歯科衛生士法2条2項)のみが行えるという点です。これは、従来の印象材でもIOSでも変わりません。つまり、光学印象採得はあくまで「デジタル技術を活用した手段」であり、印象採得という歯科医療行為の本質は変わらないのです。

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