歯科医療専門弁護士 小畑 真の歯科事件簿3 医院運営・リスク管理編
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 本書を手に取ってくださり、ありがとうございます。 おかげさまでご好評をいただいている『歯科事件簿』シリーズですが、当初より、歯科医療の現場で実際に起きているトラブルを素材に、「知らなかった」では済まされない法的リスクを、できるだけ自分事として捉えていただくことを目的にスタートしました。 第1弾では「患者・治療」、第2弾では「スタッフ・契約」に関する問題を中心に取り上げてきましたが、今回の第3弾では、より一段視点を引き上げ、「医院運営全体に潜むリスク」をテーマにしています。 日々の相談を受けるなかで強く感じるのは、同意書の不備や口コミ対応、ハラスメント、契約トラブル、法改正への対応遅れといった個々のトラブルは、一見バラバラな“点”に過ぎないということです。しかしこれらはすべて、実は「リスク管理」という一本の“線”で繫がっています。そして、その線が集まることで、最終的には医院の体制や考え方、ルールの曖昧さといった“面”の問題として表面化してきます。 本書では、治療現場の話題に加えて、AI時代の裁量権やIOSの法的解釈など、これまで以上に「経営」と「現場」の境界領域に踏み込んだテーマを扱いました。なかには、宴会でおなじみの「100円ジャンケン」の違法性について大真面目に法的考察を加えるなど、私がロースクール時代には考えもしなかったようなテーマも含まれています(笑)。 法律は、トラブルが起きた後に振りかざすための武器ではありません。本来は、安心して診療を続けるための“インフラ”であり、日常的にメインテナンスされるべきものです。 本書を読み進めるうちに、「えっ、それもダメなの?」「ウチ、完全にアウトじゃん……」と冷や汗が止まらなくなるかもしれませんが、それは健康な医院経営のための「デトックス」だと思って、最後までお付き合いください(笑)。 よりよい医療を、より長く、安心して提供し続けるために。本書が、その一助となることを願っています。2026年1月弁護士・歯科医師 小畑 真刊行にあたって

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