28巻頭特集 筆者は歯科治療において、“炎症のコントロール”と“力のコントロール”の概念が大切であると、メンターやスタディグループの先輩方に教わった。そして、現状に至った原因を診査し、複雑に絡み合った現症を紐解き、患者と共有したうえで治療計画を立案することが重要と考えている。 原因療法のために咬合再構成が必要となる場合、治療が広範囲にわたる。それに伴って治療期間の長期化や、費用および患者の精神的負担が大きくなる傾向があることから、治療介入には慎重になる必要がある。さらに、患者にメリットとデメリットについて十分な説明を行ったうえで決定すべきである。 患者背景および現症によっては、対症療法を提案することもある。その場合は、原因療法を行わないリスクを伝えたうえで局所的な治療に留め、メインテナンスで現状維持および経過観察、治療介入のタイミングを見逃さないことが重要と考える。 本稿では、過去の治療により顎位が偏位し歯根破折に至った患者に対して、顎位の修正に伴う咬合再構成を、患者の希望に沿って最小限の治療介入で対応した経過を報告する。患者:45歳、女性、主婦初診:2023年10月主訴:右上に違和感、どこで噛むのかわからない背景:横浜在住、通院時間2時間医科既往歴:2017年にめまいなどの不調和を自覚したため、医科を受診し、メニエール病と診断を受けた。現在、処方薬を服用中。歯科既往歴:2015年に、前医にて金属修復物をジルコニア修復物へ置換する再治療を行った。治療直後から噛み合わせに違和感を自覚したため、担当医へ相談すると、経過観察するように指示を受けた。 2017年に6に強い違和感を自覚し、歯根破 症例概要岩井泰伸Yasunobu IWAI千葉県・岩井デンタルオフィス/歯考会(乳歯会)顕在的病的咬合へ最小限の介入で対応した症例
元のページ ../index.html#7