デンタルダイヤモンド 2026年1月号
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骨の露出骨の露出図❷ 8週間以内でも、経過や画像所見上、あきらかに治癒傾向のない骨壊死が見られる場合は、MRONJと診断できる1)瘻孔瘻孔①口腔や顎顔面に骨の露出や、口腔内もしくは口腔外に瘻孔を認める(8週間以上:図2)。②原則として顎骨への放射線照射歴がない。③顎骨の病変が原発性がんや、がんの転移ではない。図❶ 薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)。ビスホスホネート、またはデノスマブによる治療歴がある方で、3項目を満たした際に診断される1) 薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)の 基礎知識56 「この歯、ずっと腫れてるけど、ビスホスホネートが投与されているから、抜歯せずに様子をみよう」。このような言葉に聞き覚えはないだろうか。この考えはもう古く、逆に顎骨壊死を引き起こすおそれがある。 近年、ビスホスホネートやデノスマブなどの骨吸収抑制薬投与中の骨粗鬆症患者が増えていることを日常臨床で実感する。また、がんの骨転移を有する患者や、多発性骨髄腫患者の骨吸収抑制薬投与前の口腔内診査依頼も経験するようになってきた。 2003年、アメリカで初めて顎骨壊死(BRONJ)が報告されてから約20年間、その知見や治療方法はアップデートされている。日本においても顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー2023(以下、PP2023)が、2016年の改訂版(PP2016)から7年ぶりに新しく発表された。われわれGPにとって、もはやMRONJは他人事ではない。 本稿では、PP2023の変更点やGPにとって必要なMRONJに関する新しい知識と対応策を解説する。なお、本稿において、MRONJを理解するためのきっかけになることを狙いとし、まずはイメージを掴みやすいよう、引用元の表や図などを改変または簡略化した。1.薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)とは 薬剤関連顎骨壊死(medication-related osteonecrosis of the jaw:以下、MRONJ)とは、骨粗鬆症やがんの骨転移、多発性骨髄腫などの治療に用いられる薬剤(Medication)により引き起こされる、顎骨壊死(osteonecrosis of the jaw)を指す。その診断は図1、2の3項目を満たす場合である1)。 日本での顎骨壊死の呼称の変化を図3に示す。また、MRONJの原因となる代表的な骨吸収抑制薬の一部を表1に示す。骨粗鬆症に用いられる低用量のビスホスホネートやデノスマブの投与方法は、錠剤やゼリーの内服、注射と多様である。2.MRONJの発症機序 なぜ、これらの薬が原因でMRONJが起きるのか。まだ完全な解明に至っていないが、骨の新陳代謝、いわゆるリモデリングの阻害が主とされている(図4)1)。3.MRONJの発症頻度 日本での発症頻度は、以下のように報告されている。

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