2025年12月編集委員一同 本書は、一般歯科診療所の歯科医師が“不得意で苦手な分野”に迅速に対応できるように、疾患別に、診断・説明・処置・薬剤処方・保険算定までのプロセスをマニュアル的にまとめました。 不得意分野の例として、口内炎や顔面神経麻痺、口腔機能低下症、味覚障害、口腔乾燥症、口角炎、口唇炎、ヘルペス、カンジダ症などが挙げられます。これらの疾病は、遭遇頻度は低くとも、日々の臨床の場面では必ず出くわします。 そんなとき、診断や説明は何とかこなせたとしても、処置や薬剤処方、さらには保険算定となるとイメージすら湧かない場合もあるかと思います。 これらの患者に十分な診療を施せなかったり、すぐに他科や他の医師などに紹介してしまう消極的な対応をすると、臨床医として地域からの信頼を損ねることになるだけでなく、自身のやり甲斐も満たされなくなることでしょう。 そこで、「わからないことを調べたり、悩む場面を救ってくれるような便利なマニュアル本があったらいいな」との思いから、本書を企画しました。 疾患の検査・診断を行って、配慮ある説明と提案を行い、適切な処置をして薬剤が処方できれば、患者の信頼度が増し、診療の継続によって再診の頻度が上がり、初診患者も増加していくと思われます。 歯科の場合は、顎顔面口腔領域という身体の区域が診療科になっているために、軟組織や硬組織、唾液腺、筋肉、神経などといった幅広い組織・疾患を同時に扱わなければなりません。また、つねに機能している器官なので、歯科治療にはトリアージのセンスが求められます。 こんな症状・疾患にはこんな検査、そして、こんな処置を行って、こんな処方というように、幅広い知識や経験がメークセンスな指針を生み出します。 歯科の家庭医は、大病院の口腔外科医とまったく同じ広い領域を診療しますが、必ずしも専門深度を深くするわけではありません。しかし、診療自体は広くあってほしいものです。 名医にならなくても、名医を演じる役者さんのマインドで本書を役立ててください。刊行にあたって
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