歯科での対応に苦慮する29疾患~その審査・治療・薬剤処方から保険算定まで~
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❶❷❸う蝕遊離糖の過剰摂取による高血糖Ⅱ型糖尿病への移行リスク高GI食品の取りすぎ(糖毒性)総摂取カロリーの5%以内に抑制慢性炎症(インスリン抵抗性)歯周病菌・LPSが血管に入る歯原性菌血症(炎症惹起)歯周炎消退→血糖値改善 咀嚼機能低下から・糖質偏重食→ブドウ糖負荷の上昇・低タンパク質食→骨格筋量低下 糖尿病は、2021年時点で日本人の1,100万人、5〜6人に1人が罹患していると推定されます。その病態は、ブドウ糖が細胞内に取り込まれず、血液中に淀んでしまい、糖質代謝に支障を来たし、高血糖状態(180㎎/dL)が高濃度のブドウ糖と接触した組織を糖化して害を示します。 糖尿病との関係における歯科医院での対応を述べます。1)う蝕は、高GI食品(食べてすぐにブドウ糖に分解される糖質)の食べすぎと考えると、高血糖になる時間が長くなります。糖質を摂取したのちに血糖値が上昇しているとき、歯面では脱灰が起きています。う蝕の治療痕はHbA1cと同し理屈で捉えられます。2)慢性持続性炎症(歯周病、慢性根尖性歯周炎、歯原性菌血症、その他)による炎症性物質(炎症性サイトカイン、オータコイド)がインスリンの働きを阻害し、インスリン抵抗性を惹起して糖質代謝を悪化させます。3)大臼歯の接触を失って咀嚼機能が低下すると、糖質偏重食(高カロリー低栄養食)の傾向になり、ブドウ糖摂取量が増加(グリセミックロードが上昇)して糖質代謝を悪化させます。 以上の3つが、歯科疾患と糖尿病の代表的な関係です(図1)。このなかで、“慢性炎症”は、これまであまり重要視されませんでしたが、現在、基礎医学研究のトピックとして深掘りした研究対象になっており、非常に危険な病態と考えられています(表1)。歯科では、これまで以上に「慢性炎症を制御する努力」が必要です。 糖尿病に対するアプローチは、患者ばかりではなく、地域の内科専門医も対象として、歯科との関連を簡潔に説明する努力に努めましょう。 歯科疾患と糖尿病の関係は、以下の2つです。①各種歯科疾患由来の慢性炎症によるインスリン抵抗性②咀嚼機能が低下した場合の糖質偏重食によるブドウ糖負荷の上昇 臨床的には、炎症が強ければ強いほど、炎症が消えた後のHbA1c低下に大きく働きます。重度歯周病奥歯喪失/欠損図❶ 歯科疾患と生活習慣病NCDsの共通リスク因子130130

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