宿主要因歯の形態石灰化度唾液の分泌量+緩衝作用図❶ 多因子リスクによるう蝕発症・進行ステージにおける位置 硬組織の評価は、表1のICDASに準じてより微細な硬組織変化を評価します。 問診事項は、フリーシュガー(遊離糖)の摂取頻度や嗜好の傾向を生活習慣として聞き出します。口腔清掃の評価もこれに含まれます。 う蝕症は、多数のリスク因子の複合的作用によって発症します。それぞれの単一リスク因子を均一な条件下で割り付けたランダム化比較解析の結果、単一リスク因子の制御は、DMF歯の抑制に繫がることがあきらかになっています。 う蝕発症に向かって上流から数々のリスク因子が作用し、下流では多因子リスクの蓄積として作用しています(図1)。 個々のリスク因子の評価とは別に、う蝕予防・治療の臨床では、数々のリスク因子が蓄積した結果として現れる下流イベントの検査系が、実態の診断には有効です。1.宿主要因(歯の要因:歯質、小窩裂溝、盲孔、歯列不正など) エナメル質形成不全や小窩などの自浄作用のない歯面形状などは、目視で評価します。小窩裂孔の診査には、ダイアグデント(KaVo)という光学的診断機器があり、数値でう蝕の進行を知ることができます。 対策としては、デッドスペースのバイオフィルム清掃を行う吹付け機器、フッ化物塗布、デッドスペースを埋めるシーラント処置があります。2.唾液緩衝能(唾液分泌量、唾液pH、唾液粘稠度:宿主要因) 唾液の緩衝作用は、口腔細菌が産生した有機酸を中和して臨海pH(5.5〜5.4)から上昇させるものです。緩衝作用の評価は、唾液分泌量を評価するサクソンテストと緩衝能を評価する唾液pH検査があります。 対策として、唾液分泌量低下には、1日の食事による水分摂取を除き、1L程度の微温湯を摂取させます。外来ではスタッフが唾液腺マッサージを指導します。白虎加人参湯を処方しますが、「口腔乾燥症」の病名が必要です(P.15「口腔乾燥症・ドライマウス」の項参照)。3.食習慣・生活習慣 う蝕は、まさに生活習慣を反映します。主として糖質の摂取頻度、つまり食事の回数および量と口腔清掃の質について全身の健康を俯瞰的に考慮して保健指導を行います。細菌学的要因非水溶性グルカンう蝕原性バイオフィルムの定着食習慣・生活習慣遊離糖の摂取頻度・量口腔清掃の質環境要因フッ化物の存在低pH飲料の摂取硬組織の脱灰・再石灰化細菌学的要因口腔マイクロバイオームの変化う蝕原性細菌の比率増加❶❷❸❹❺う窩形成8383
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