歯科での対応に苦慮する29疾患~その審査・治療・薬剤処方から保険算定まで~
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*ICDASは2005年に欧米のカリオロジー研究者によるコンセンサス会議で決定した新しいう蝕検出基準。初期脱灰の段階から病変として認識し、視診による判定を重視している評価ステージCode0Code1Code2Code3Code4Code5Code6健全乾燥後にみられるエナメル質の色調が変化乾燥前にみられるエナメル質の色調が変化エナメル質に限局したう蝕象牙質の色調変化がエナメル質を透けて検出象牙質が確認できる明瞭なう窩象牙質が確認できる歯冠の半分以上の広範囲なう窩完全バージョン定義統合バージョン健全CodeA(初期う蝕)CodeB(中等度う蝕)CodeC(重度う蝕) う蝕は歯を取り巻く環境、すなわち、う蝕原性細菌や宿主要因、生活習慣に基づき、硬組織の主成分であるハイドロキシアパタイトがpHに依存して脱灰および再石灰化が生じる多因子性疾患です。 硬組織に形態的変化が生じる段階で「う蝕症」との病名がつきます。しかし、近年はその変化の極めて微小な段階、エナメル質表層直下の密度低下による白濁などの初期変化を評価するICDAS(InternationalCariesDetectionAssessmentSystem:基本コード0〜6に分類):国際的う蝕検出評価システム(表1)が運用されています。 これに対して、硬組織の変化ではなくう蝕発症リスク因子の検査も存在しています。 これらリスク因子の相互作用で、歯面の化学溶解平衡反応が右辺に進行すれば脱灰が進み、左辺に進行すれば再石灰化が進みます。う蝕検査は、さまざまな個別因子ごとに存在しますが、それらの結果を総合的に評価して脱灰を防止して再石灰化を促します。これがう蝕の発症予防・重症化予防になります。図1は、う蝕発症リスク因子からう蝕の進行までを時系列で示しています。 う蝕の保険診療では、う蝕の検査は行いません。検査は、矯正治療前のカリエスリスク評価、口腔シェーグレン症候群など、特殊なカリエスリスクを伴う場合に用います。 う蝕に至る生活習慣を問診します。何と言っても食習慣ですが、“甘いもの”と聞くよりも“砂糖を含む食品”と問診します。 砂糖(スクロース)は、う蝕原性バイオフィルムである非水溶性グルカン合成の唯一の基質になります。男性であれば缶コーヒーの日常的飲用、女性ではのど飴やチョコレートなどのスナック菓子を常用する頻度が高いです。 これらをスクロース以外の代用糖仕様の製品や、シュガーレスにしてもらいましょう。歯面のプラークの質が激変します。う蝕と糖尿病についても意識してもらいます。表❶ ICDAS*(InternationalCariesDetectionAssessmentSystem:国際的う蝕検出評価システム)の基本コード8282

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