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書評

コピーデンチャーズ 複製義歯の製作とその活用法

[著]
前畑 香 (神奈川県開業)
鈴木宏樹 (篠栗病院)
松丸悠一 (Matsumaru Denture Works)


全歯科医師必見!
コピーデンチャーの臨床の幅を広げる一冊!

 デンタルダイヤモンド社から『コピーデンチャーズ』という書籍が出版された。「デンチャーズ」と複数形になっているのは、本書が3名による共著のためかと思われるが、内容も通常の総義歯にとどまることなく、治療用義歯、暫間義歯、オーバーデンチャー、脳卒中患者に対応した例、義歯紛失に対応した例、そしてパーシャルデンチャー、記録用義歯など多岐にわたっている。また最後には、複製義歯に関するデジタル化についても触れられている。
 本書の「はじめに」には、コピーデンチャー臨床の真髄ないしは極意というべき興味深いことが述べられているのだが、それは読者自身が実際にそのページを開いたときのお楽しみとして、ここでは触れないことにしよう。この部分を読むだけでも、本書を購入する価値があるといっても過言ではない。
 私自身、総義歯製作時はコピーデンチャーを多用している。旧義歯があれば、100%コピーデンチャーを利用している。顎堤の吸収が進んでいる症例、咬合や患者自身の健康に問題があるような症例などでは、さらにその威力を発揮するといってよい。
 コピーデンチャーを自身の臨床に応用し始めたころは、それを治療用義歯としてある程度の期間使用してもらったり、パーシャルデンチャーに応用できないかと試行錯誤してみた時期もあった。しかし現在は、総義歯製作時における咬合堤付き個人トレーとしての使用方法に、落ち着いてしまっている。
 ところが今回、本書を拝読して、3名の著者の先生方がいろいろな症例に対応して、有効にコピーデンチャーを使用していることに驚かされた。私も74歳になり初々しさが失われ、年相応に臨床の幅も狭まってきてしまったのだろうと感じている。
 本書は、とにかく美しくて読みやすい。私もコピーデンチャー関連の書籍を執筆したことがあるが、拙著の場合、症例報告を主体とするためか、基本的な部分に関する記述は少なく、写真も美しさが足りなかった。一方で本書は、画像もきれいでレイアウトも見やすく、わかりやすい。義歯臨床を始めるにあたり知るべきことが、見るだけでわかるようにレイアウトされている。
 また、主要テーマのコピーデンチャーの目的や製作法についても、わかりやすく書かれている。これからコピーデンチャーを自身の臨床に取り入れようとしている先生方にはもちろんのこと、いままで十分に利用してきた先生方にとっても、自己流から脱し、臨床の幅を広げるのに最適の書籍であると感じている。

(文・村岡秀明/むらおか歯科・矯正歯科クリニック)
[デンタルダイヤモンド 2021年10月号掲載]

コピーデンチャーズ 複製義歯の製作とその活用法

コピーデンチャーズ 複製義歯の製作とその活用法

[著]
前畑 香 (神奈川県開業)
鈴木宏樹 (篠栗病院)
松丸悠一 (Matsumaru Denture Works)

AB判/128頁/オールカラー
小社より好評発売中!
定価(本体7,200円+税)


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