書評
歯科医院増患プロジェクト
[著]根本和馬
医院経営の本質をふまえた実用的な増患指南書
本書は、歯科医院の増患の手法について述べられた、極めて実用的な書籍である。机上の空論ではなく、筆者のこれまでの経験に基づき、現場で成果のあったものを具体的に説明している点が大きな特徴だ。
とくに、ビジネスにおいて結果を出すために重要なことは、
1.「何のために、それをやるのか」という目的、理念、志を高くもつ
2.1を実現するために、具体的な事柄を、まずやってみる
3.2でやってみたことを、さらによくするために改善する
という3つのステップに集約されるとあるが、私自身も日々の医院経営のなかで、「何のために」という目的意識を最も大切にしている。
筆者は、院長がその目的意識をスタッフや患者さんに「伝える」ことが、何より大切であるとしている。シンプルながら、これこそが医院経営の本質であると思う。
また、これらに加えて極めて具体的な26の手法が詳しく解説されており、私も読みながらいくつか実践してみようという気持ちがわいてきた。
そして、この手法のすべてを、院長ひとりでやるのではなく、「スタッフみんなで取り組むこと、スタッフを巻き込むこと」をベースにすことが増患の秘訣であると、改めて理解することができた。
とはいえ、スタッフを巻きこめず孤軍奮闘している院長先生も多いのではないだろうか。そんな方には、第3章「スタッフの力を引き出す」の項目のうち、「個人面談を実施しよう!」、「採用を成功させよう!」、「増患に関するミーティングを実施しよう!」など、具体的に実行できそうなことからはじめてみるだけでも、スタッフの意識や、ひいては医院そのものが変わると思われる。
さらに、院長、スタッフとの3つの対談も読みごたえがある。院長としての共通の悩みや、増患、スタッフ教育などの秘訣、医院への熱い想いなどを感じることができた。このなかにも増患のヒントが盛りだくさんで、たいへん参考になる。
本書は増患だけでなく、スタッフ教育に興味のある方にも是非、お薦めしたい一冊である。
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歯科医院増患プロジェクト
[著] 根本和馬
四六判・216頁
定価(本体3,200円+税)