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書評

海外文献120編から読み解くペリオの世界 リスクと予後・全身・インプラント篇

【著者】関野 愉


 歯科衛生士臨床の道標『海外文献120編から読み解くペリオの世界 リスクと予後・全身・インプラント篇』

 2021年、探していた道標が見つかりました。本書は、幅広い領域に関する文献が紹介・解説され、先人たちの試行錯誤に基づく研究成果や回避すべき事項、さらには予測を立てた考慮の必要性についても言及されています。これにより、カスタマイズされた患者対応に応用するためのヒントを見つけられます。
 本書の原案は、DHstyleの連載「Let’s Study! 海外ジャーナル」。論文を読み解く際に必要な分析方法についても解説され、まるで誌上抄読会のように毎号楽しみにしていました。
 本書では、インプラント周囲における角化組織についての論文などが分析されています。なかでも、インプラントを長期にわたって維持・安定させることを最重要課題としてメインテナンスを担当する歯科衛生士にとって、「埋入位置を含む治療計画立案の段階からの考慮が必要である」との提言は、とくに印象深いものでした。
 著者の関野 愉先生の評価基準は、科学者に必須の「客観性」と「再現性」です。論文ごとに前向き研究や後ろ向き研究などの研究デザインが解説され、対象となった患者層や実施した研究機関の特性が特殊すぎず、広く社会全般に有用であることを重要視しています。また、超高齢社会のわが国が直面している高齢者や障がい者への歯周治療、基礎疾患および生活習慣のリスクなどに関しても、包括的に考えることで、目の前の患者への対応に道筋をつけられるよう組み立てられています。
 関野先生のご趣味である“ヘビメタ”から生み出されるエネルギーで、書名にもあるような「関野世界」がますます深みをもって拡がり、歯科医療従事者を通じて一人でも多くの患者に福音をもたらすことを祈念してやみません。

(文・柏井伸子/㈲ハグクリエイション・歯科衛生士)
[DHstyle 2021年7月号掲載]

海外文献120編から読み解くペリオの世界 リスクと予後・全身・インプラント篇

海外文献120編から読み解くペリオの世界 リスクと予後・全身・インプラント篇

【著者】関野 愉

A5判・256頁
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定価(本体4,000円+税)


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