よくわかる超音波スケーラーのきほん

書評

【監】長谷ますみ
【著】前池綾乃

超音波スケーラーの疑問に答える実践型書籍！

　本書は、臨床で歯周治療に携わる歯科衛生士にぜひ読んでほしい１冊です。日々の臨床のなかで、超音波スケーラーを用いて歯周治療を行っている方は多いと思います。私もその一人です。本書を手にしてまず感じたのは、「本当によくわかる！」ということ。それは、超音波スケーラーの使用目的や概要に始まり、歯肉縁上・縁下での操作方法、ポジショニングなどの必須知識が、豊富な写真により簡潔に解説されているからです。
　超音波スケーラーを使用していると、さまざまな疑問が生じると思います。たとえば、「注水量は合っているの？」、「この歯石にアプローチするには、どのチップを用いたらよいのだろう」、「モードは何が適切なんだろう」、「この挿入角度、操作方法で間違っていないかな」などです。本書はこれらに対して、実に的確に答えへと導いてくれます。
　著者の前池綾乃さんは、新卒のころから貪欲に歯周治療に携わっています。さらに、卒後５年で日本歯周病学会認定歯科衛生士を取得されるなど、豊富な経験をおもちです。実際の臨床応用例などを交えながら、超音波スケーラーを用いて歯肉縁下へのアプローチを行い、歯周病を改善へと導ける実践方法を伝授してくれています。
　本書を熟読することで、超音波スケーラーについて一人で悩まなくても済み、歯周治療の楽しさがみえてくるでしょう。超音波スケーラーをテーマにした、これほど実践型の書籍は他にないと思います。「もっと上達したい」、「よい結果を出したい」と考えている歯科衛生士のためのバイブルとして、活用されてはいかがでしょうか。また、後輩指導にも使用できるので、医院に１冊備えておくことをお勧めします。

（文・山口珠美／山本歯科・歯科衛生士）
[DHstyle 2021年11月号掲載]