6ミリ以上の歯周ポケットも改善できる8つの階段

書評

［著］谷口威夫・山岸貴美恵

『６ミリ以上の歯周ポケットも改善できる８つの階段』
～谷口歯科医院から学びたい歯周治療の心得～

　歯科医院はコンビニと同じくらいの数ともいわれながら、国民の80％が歯周病に罹患しています。患者さんのなかには、疾患の説明を十分されてないことが転院の動機になっている方もいます。また、歯科衛生士が足りないという声もよく聞きます。この循環を変えたいと思っている方は、多いのではないでしょうか？

　こうした状況のなかで発刊され、「患者さんと歩む歯周治療はおもしろい！」と力強いメッセージを発信している本書をご紹介します。

　これまでも、谷口威夫先生や山岸貴美恵さんの多くの講演会や著書で、谷口歯科医院の治療を学ばれた方は多いと思います。私もその一人です。

　1982年に初めて参加した勉強会は、本書のなかにも紹介されている「０の会」でした。そのとき行われた歯科衛生士の症例報告に、強い衝撃を受けたことを覚えています。それがモチベーションとなり、目標となり、いまでもその気持ちは継続しています。

　本書には、谷口歯科医院のフィロソフィーとこれまでの臨床、その検証がまとめられています。どのページを読んでも、「谷口歯科医院の患者さんに起きた事実」が述べられています。そして、その事実からEBMをどう読むのか、臨床と照らし合わせてどう考えるかが解説されています。

　患者さんとスタッフと歯科医師が47年間真摯に向き合って歩んだ結果、「歯周病のほとんどは基本治療で治る、どの歯科衛生士がやっても同じようにできる」ということが医院のデータで検証されています。歯周治療をとおして、患者さんもスタッフも「よかった！」と実感するための心得です。ぜひ医院全員で読みたい本として推薦いたします。

文・品田和美
東京都・黒田歯科医院・歯科衛生士