書評
おとみんのよくばりレッスン 小児の口腔機能編
[著]宮坂乙美
“口を育てる”ために必要な情報が満載!
『おとみんのよくばりレッスン 小児の口腔機能編』
歯科衛生士が、歯や歯肉を診るだけではなく、“口を育てる”ということに携われると知ったのは、宮坂乙美氏のセミナー受講がきっかけでした。う蝕・歯周病の予防や治療とは違う分野に出合い、今後の歯科衛生士の職域の展望に、期待で胸がワクワクしたことを覚えています。
『おとみんのよくばりレッスン! 小児の口腔機能編』は、宮坂氏自身が感じた、たくさんの「なぜ?」や「もっと現場で取り入れたい」という気づきと経験が、一冊にまとめられています。とくに小児の場合、口腔機能発達の過程を見守ることで、「自然とよい歯並びになる」、「口腔育成のサポーターになれる」というのは、究極の予防といえるでしょう。
本書のなかで注目すべき点は、宮坂氏がどのような視点で“院内ストーカー”を実践しているか、というところです。私たち歯科衛生士が、小児の口腔機能発達のステージにおいて何をみるのか。また、発達の過程や機能不全を本人や養育者にどのように理解させ、アプローチをしていくのか。そのタイミングなども含めて、現場に立ち続けている宮坂氏ならではの導き方と、保健指導法のノウハウを学ぶことができます。
宮坂氏の濃密な歯科衛生士人生を凝縮した内容は、これからの歯科衛生士臨床の財産となると信じて止みません。
また、最近は、宮坂氏の開催する食育・口腔機能セミナーは職域を超え、保育士や栄養士の方からも熱烈なオファーをいただくほどになっています。
「おとみんのよくばりレッスン!」シリーズを読んだ歯科衛生士の後輩たちが後に続けるよう、宮坂さんの益々のご活躍を祈念しています。
-
おとみんのよくばりレッスン
小児の口腔機能編[著] 宮坂乙美
B5判変型・100頁・オールカラー
定価(本体3,600円+税)