1. ホーム
  2. 書評
  3. Longevityに繫がるLOT活用術 ターゲット10

書評

Longevityに繫がるLOT活用術 ターゲット10

[編]
宇塚 聡(日本歯科大学附属病院)
杉山晶二(東京都開業)
田井規能(岡山県開業)
髙橋正光(東京都開業)
宮下 渉(日本歯科大学附属病院)


患者の咬合・口腔機能改善と長期安定のために必読!

 書店の店頭で山積みになっている多くの本のなかから何気なく本を「選ぶ」とき、タイトルや表紙、ジャンルに興味を引かれて手に取り、目次を見ながら本の内容を想像し、興味が湧いた章をパラパラとめくり、さらりと内容を探りながら、購入を検討します。

 この度、光栄にも本書『Longevityに繫がるLOT活用術 ターゲット10』の書評を依頼され、初めて表紙やタイトルを目にしたとき、とても心が惹かれました。目次などの冒頭部分をめくり、「本書の使い方」についての項の説明を読み、各記事の難易度が示されていることに感銘を受け、各症例が目に浮かんでくるような目次に、「この本は間違いなく矯正歯科治療を手がけるすべての先生にとって役立つ一冊である!」と確信しました。店頭でみかけていたら、間違いなく購入していたことでしょう。

 矯正歯科治療は、その診断結果やゴールが同じであっても、治療メカニクス・装置・道具の使い方は、各術者によって個性が表れます。編集者一同による「おわりに」にも、「比較的経験が少ない先生を対象としていますが、経験豊富な先生方がご覧になっても十分読みごたえのある内容となっています」と記載されているとおり、どの項のどの症例もすばらしいものばかりで、三十数年間、矯正専門で臨床を行ってきた私の知識・工夫の引き出しにないいくつかのヒントや、“目から鱗”となる手法も多く掲載されていました。

 昨今、気軽に矯正歯科治療ができると思い込んでしまうような、装置や方法が紹介されていますが、どの矯正歯科治療においても、検査・診査・診断を確実に行い、その適応症や非適応症を守り、患者にとってその治療の意義は何であるのか、治療は本当に必要なのか否かを見極め、治療計画を立て、的確なメカニクスを使用することは、非常に重要だと考えます。

 さまざまな場面で、多くの審美歯科治療の症例発表を拝見しますが、「なぜ、この不正咬合を改善しないまま補綴治療を行ってしまったのだろう?」、「矯正歯科医だったら、ここはこうやって、歯列不正を改善してから審美歯科治療を行うだろうな」、「審美的改善はされても、今後、ペリオやカリエスの問題が出てくるだろうな」、「この治療、長期安定はあるのだろうか?」といった感想をもつことも少なくありません。ですので、多くの先生方に、形態と機能の改善と安定のために、ぜひ本書を活用し、的確なLOTを行うことをお勧めします。

 今回、編著の先生方が、最良のLongevityに繫がるLOT活用術を10の不正咬合にターゲットを絞りまとめられたことは、歯科界への大きな貢献であると言っても過言ではありません。

(文・坂本紗有見/東京都・銀座並木通りさゆみ矯正歯科デンタルクリニック81)
[デンタルダイヤモンド 2019年11月号掲載]

Longevityに繫がるLOT活用術 ターゲット10

Longevityに繫がるLOT活用術 ターゲット10

[編]
宇塚 聡(日本歯科大学附属病院)
杉山晶二(東京都開業)
田井規能(岡山県開業)
髙橋正光(東京都開業)
宮下 渉(日本歯科大学附属病院)

A4判・112頁・オールカラー
小社より好評発売中!
定価(本体8,000円+税)


Information