ドリル式歯科衛生士臨床のBASIC of BASIC 52

書評

［監修］株式会社Tomorrow Link
［編著］濵田智恵子、片山章子、横山朱夏、青木薫

懐かしいのに斬新！　DHstyle増刊号
『ドリル式歯科衛生士臨床のBASIC of BASIC 52』

本書を手に取った瞬間、付属の「赤いシート」を使ってみたい衝動に駆られ、読んで、隠して、覚えてを繰り返しながら、あっという間に読破しました。最近は赤シートの代用として、スマホのアプリで暗記する方もいるようですが、電車の中で参考書に赤いシートを当てている学生を見かけると、昔の自分をふと思い出します。

日々の忙しさを理由に、わからないことをそのままにしたり、患者さんや後輩からの質問に即答できず、ごまかしたりしていませんか？　私たち医療従事者は、常に知識や技術を習得し続けなければなりません。しかし、安易に最新のものに飛びついたり、快適さや心地よさばかりに興味をもったりして、最も大切な基本を疎かにしていませんか？

本書を執筆しているCASKの４名は、それぞれ異なる臨床現場で多くの後輩育成に携わってきた豊富な経験から、「いかに基本が大切か」を実感しているのだと思います。それゆえ、基本を身につけ、患者さんの健康を支える歯科衛生士という職業に魅力を感じてもらいたいという４名の想いが、本書から感じられます。

「いまさら聞きにくい！」基本が集められた本書は、臨床現場で働く経験の浅い方や後輩育成に悩んでいる方、ブランクがあって不安な方など、あらゆる方がこっそり読んで、書いて、隠して、「そうそう！」「そうだった！」と、振り返りながら学び直すのに最適です。究極にシンプルな本書は、いつまでも色褪せないベーシックな内容だからこそずっと「いいね！」を押し続けたい、お勧めの一冊です。

（文・松下加奈枝／フリーランス歯科衛生士）
[DHstyle 2017年11月号掲載]