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書評

『DHのためのメインテナンス 1st book』
ハンドスケーリング&超音波スケーリング&エアアブレージョン

【著】加藤久子 (歯科衛生士)


手技だけでなく器材・機器の情報も
アップデートできる一冊!

 2020年と2021年は、コロナ禍による移動制限が続き、さまざまな面で人々の生活様式に変化が現れた。歯科においてもそれは例外ではなく、学会やセミナーはオンラインでの配信が主流となった。さらに、オンデマンドのe-learningサービスの普及が進み、無料で視聴できるセミナーも増えた。その反面、情報の取捨選択がいままでよりもいっそう難しくなった。
 これは歯科器材についても同じことがいえる。デンタルショーなどが相次いで中止になったことで、歯科器材に関する情報のアップデートと、情報の整理が途絶えているように思える。
 近年の歯科衛生士が行う業務は、ベーシックな手技に加え、道具の知識も重要になってきている。ハンドスケーラーの動かし方などは、ある一定の教育が卒業前に行われており、それ自体に特別大きな変化はない。しかし、道具が進化すれば、手技もまた変化する。
 本書では、スケーラーの動かし方を連続写真で解説しており、動画をコマ送りで見るようなわかりやすさを感じることができる。
 また、本書は道具そのものについても解説しているため、超音波スケーラーやエアアブレージョンを総合的にまとめて勉強できるのも魅力的である。
 私も、移動式の超音波スケーラーを買い足そうとした際に、製品の種類が多すぎてどれを選択すればよいのか悩んだことがある。さらに、エアアブレージョンは、昨今では100万円を超える高額な機器も上市されているうえ、それに使用するパウダーの種類も続々と増えてきており、以前の知識のままでは対応できないと感じている。
 本書を読み、さまざまなパウダーの種類とその硬度を確認でき、今後の適切なパウダー選びに生かせるのではないかと実感した。そのような意味では、現在の総合カタログ的な使い方もできる書籍に仕上がっているといえる。
 昨今、コロナ禍によりマスク生活が続いていることも後押しして、矯正治療を受ける患者が増えていると聞く。このマスク生活中に、歯科医師の治療と歯科衛生士のクリーニングがいままで以上に行われ、コロナ禍が収束し、人々が再びマスクを外して自由に行動できるようになったときに、マスクの下から健康的で機能的な歯が現れることを、私は強く期待している。

(文・荒井昌海/エムズ歯科クリニック)
[デンタルダイヤモンド 2022年2月号掲載]

『DHのためのメインテナンス 1st book』ハンドスケーリング&超音波スケーリング&エアアブレージョン

『DHのためのメインテナンス 1st book』
ハンドスケーリング&超音波スケーリング&エアアブレージョン

【著】加藤久子 (歯科衛生士)

AB判・72頁・オールカラー
小社より好評発売中!
定価(本体4,400円+税)


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