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書評

デンチャーメインテナンス

[監修]谷田部 優
[編著]前畑 香
[著]    三宅宏之,湯田亜希子


豊富な写真と平易な表現で専門家でなくても理解できる!
『デンチャーメインテナンス』

  人口の4人に1人が65歳以上という“超高齢社会”に直面している歯科医療従事者は、「オーラルフレイル」を視野に入れた活動が不可欠です。健康と機能障害のはざまにあるフレイル(衰え)には、早期の気づきと適切なメインテナンスが欠かせないためです。

  近年、インプラントのメインテナンスに関する研究や実践事例を目にする機会は増加しています。しかし、義歯のメインテナンスについて学ぼうとしても、なかなか機会が少なくなっているのが現状ではないでしょうか。一方で、インプラントに不安を感じる人は少なくありません。そうした人は義歯を選択するため、義歯のメインテナンスの潜在的ニーズは高いのです。

  本書『デンチャーメインテナンス』は、文字どおり義歯のメインテナンスに焦点をあてて書かれています。Introductionで、メインテナンスを必要とする歯石様沈着物と色素沈着、義歯の劣化などが解説され、Chapter1で機械的清掃、Chapter2で化学的清掃がまとめられています。多様な義歯用ブラシの紹介からその使い方、機械的清掃時の注意点がわかりやすく書かれています。化学的清掃では、市販品から歯科専売品まで各種の義歯洗浄剤が取り扱われ、それぞれの特徴や使用上の注意点が紹介されています。一口に義歯洗浄剤といっても、酸性タイプ、中性タイプ、アルカリ性タイプがあり、義歯の材料や汚れに合わせて洗浄剤を選択しなければなりません。日ごろのケアでも意識しなければならないポイントです。

  Chapter3からは、プロフェッショナルケアが扱われています。義歯のメインテナンスは、義歯を使う本人や介助者による日ごろの清掃が基本となります。プロフェッショナルケアは、日ごろの清掃では除去しにくい歯石様沈着物や色素沈着を取り除き、仕上げ研磨を行うまでが一連の工程となります。

  Chapter4は、歯科訪問診療時のメインテナンスの現状(湯田亜希子氏担当)と震災などの災害時における口腔清掃の課題(三宅宏之氏担当)が、実例を含めて紹介されています。いずれも、在宅患者の義歯の状態や、東日本大震災の避難所などでの経験がもとになっていて興味深い内容です。

  本書の最大の特徴は、デンチャーメインテナンスのプロセスを、400枚近いカラー写真とわかりやすい言葉で説明した解説文にあります。無駄な記述をそぎ落とし、難しくなりがちな歯科の専門用語をわかりやすく書くことで、義歯を使う高齢者本人や介助者にも理解できる記述となっています。

  編著者の前畑 香氏は、「歯科医療従事者だけではなく、義歯装着高齢者やその介助者の方々にも手にとっていただきたい」と記しています。オーラルフレイルへの予防的取り組みには、本人や介助者の日ごろのメインテナンスが欠かせません。本書は、そうした日ごろのメインテナンスとプロフェッショナルケアを結びつける一助になると考えます。

(文・大金容子/フリーランス歯科衛生士)
[DHstyle 2017年12月号掲載]

デンチャーメインテナンス

デンチャーメインテナンス

[監修]谷田部 優
[編著]前畑 香
[著]    三宅宏之,湯田亜希子

B5判変型・100頁・オールカラー
定価(本体3,500円+税)




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