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書評

歯科発 アクティブライフプロモーション21 健康増進からフレイル予防まで

[監著]花田信弘
[編著]武内博朗,野村義明,泉福英信


長寿社会における歯科医療・口腔の実践書

   日本人平均寿命は男性80.98歳、女性87.99歳となった(厚生労働省,2017)。団塊世代が生まれた1947年当時と比べ、30年以上の延長である。

   このような高齢化は、新たな健康課題も生み出す。高齢になるほど病気にかかりやすくなり、要介護のリスクが高まる。これは、生物学的に避けることができない。

   これに対し、高齢になっても安心して生活できるためのシステムが社会保障制度である。わが国では1961年以来、国民皆保険制度を持続している一方、それを維持するための財政負担という課題に直面している。社会保障費の3割強を占める医療費は増加を続け、すでに国民医療費は40兆円を超え(国民皆保険制度達成以降40倍の増加)、介護保険給付費も約10兆円に達した(介護保険制度開始以降3倍の増加)。この財政負担は、一般会計歳出総額では歳出の中の社会保障費が3割を超え、歳出の1/4を債務返済に当てている。そして歳入においては税収不足を補うために1/3を公債が占める(財務省,2017)。

   このような現実に対し、保健医療専門職である歯科医師は、どう向き合えばよいのか。国の健康政策の方向性は極めてシンプルである。予防を重視し、高齢になっても健康でいる期間を延ばす「健康寿命の延伸」を図り、医療・介護の効率的で効果的な提供体制を確立していくというものだ。

   具体的には、死因と医療費の多くを占めるNCDs(非感染性疾患)などの疾患予防と、要介護原因となる疾患や病態の予防である。そしてこれらの予防に加えて、死因や要介護原因で上位を占める老衰や虚弱を、フレイルという概念で再整理し、その対策が推進されるようになってきた。また、医療・介護の効率的な提供という点では、医科歯科連携をはじめとする多職種・多分野連携という施策である。さらに、このようなチャレンジに加えて、国民にも、運動、栄養をはじめとする健康増進が求められている。

   口腔と全身の健康との関連を示すエビデンスが蓄積してきたことによって2011年に歯科口腔保健法が制定されて以来、わが国の歯科医療・口腔保健は確実に健康施策に位置づけられるようになってきた。しかしエビデンスと政策がいくら整備されたとしても、そこに実践が伴わなければ国民の健康向上は達成できない。

   このような背景のなかで本書は、65,000超の歯科医療提供機関における歯科専門職一人ひとりが取り組むべき実践内容を具体的に示したものであり、わが国の現在の健康課題への対応をすべて網羅している。1906年の歯科医師法の制定以来、口腔と全身との関連を踏まえた歯科医療・口腔保健の実践を、歯科医療者が取り組める形で系統的に示した初めての書籍である。歯科口腔関連の歴史上からもその意義は極めて大きい。

文・深井穫博
(埼玉県・深井歯科医院・深井保健科学研究所)

歯科発 アクティブライフプロモーション21 健康増進からフレイル予防まで

歯科発 アクティブライフプロモーション21 健康増進からフレイル予防まで

[監著]花田信弘
[編著]武内博朗,野村義明,泉福英信

A4判・200頁
定価(本体8,000円+税)




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