書評
おひとりさま専門的口腔ケア 歯科衛生士による在宅単独訪問の実際
[著]平松満紀美
“訪問”歯科衛生士の手引き書
『おひとりさま専門的口腔ケア歯科衛生士による在宅単独訪問の実際』
わが国は世界に例をみないスピードで高齢化が進行しており、平成28年版厚生労働白書によると、2060年には約2.5人に1人が65歳以上の高齢者になる見込みとされています。超高齢社会を迎えたいま、私たち歯科衛生士には、歯科訪問診療における専門的口腔ケアの知識と技術が必須になったといえます。
歯科訪問診療の現場では、口腔内の状況だけでなく、高齢者の既往や寝たきりの状態を確認し、そのつど心身の状態に応じた専門的口腔ケアの実施が求められています。さらに、家族や介護にかかわる方々とコミュニケーションを図りながら、多職種との連携、情報の収集や伝達が必須になります。診療室内で行う口腔ケアとは勝手が大きく違い、戸惑い、悩むことも多い環境です。
筆者の平松満紀美さんは、歯科衛生士の在宅単独訪問に関する豊富な経験をおもちです。本書では、歯科訪問診療の現場における、口腔ケア、口腔リハビリ、食支援、終末期、看取りについて、具体的な手技、状況に応じたかかわり方、コミュニケーションに至るまで包括的に説明されています。とくに多職種連携に即活用できる筆者の「魔法のことば」は、具体的で温かく、また奥が深く、重要なものだと感じました。歯科衛生士だからこそできる「癒しの口腔ケア」は、非常に共感できる部分です。
本書はすでに在宅単独訪問をされている方にも、これから歯科訪問診療を始める方にも、大切な手引き書になると思います。個々の現場で、志をもって専門的口腔ケアに取り組む歯科衛生士を繫いでくれる、あるいは背中を押してくれる、実用的で心温まる本です。
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おひとりさま専門的口腔ケア
歯科衛生士による在宅単独訪問の実際[著]平松満紀美
B5判変型・144頁・オールカラー
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定価(本体3,600円+税)