1. ホーム
  2. 書評
  3. 歯科診療所のためのエビデンスのあるハイパー感染管理 コストから投資への転換

書評

歯科診療所のためのエビデンスのあるハイパー感染管理
コストから投資への転換

[著]
佐藤繭美(歯科衛生士/第一種滅菌技師)
石原宏一(歯科医師/インフェクションコントロールドクター[ICD])


医療資源を有効活用するための道標
『歯科診療所のためのエビデンスのあるハイパー感染管理 コストから投資への転換』

 本書を手に取って最初に目を引かれたのが、「スーパー」よりも上位にあることを意味する「ハイパー」という書名の一部でした。さらにサブタイトルでは、感染管理を考える際に陥りやすいコスト管理について、「コストから投資への転換」と表現されています。
 私自身も、「ディスポーザブルとリユース」や、製品のコストパフォーマンスを比較することが多々あります。そこから投資へと展開していく考え方は歯科医院経営にとって非常に重要な着眼であり、石原総合歯科医院開業準備段階からの石原宏一先生と佐藤繭美様のコラボレーションの結実だと感じました。
 本書では、一般に多く見受けられる要改善例として、器材洗浄時のブラッシングや滅菌器への積載方法が紹介され、滅菌物の保管方法については「〇×」をつけてその理由や解決法までを詳細に解説しています。さらに、項目ごとに取り上げられる「ド基礎」では、目から鱗の部分も多く、ドンドン読み進んでしまう魅力があります。
 石原先生の大学病院集中治療部での経験や、佐藤様の大学院での研究が随所に反映されており、「エビデンスは研究とともに変化する」として、科学の進歩に伴う情報アップデートの必要性が訴えられています。感染対策は制御とともに予防が重視されており、安全性の担保に加えてSDGsの観点からも、医療機器や器材のみならず、人材という限られた資源の有効活用を考える必要があります。本書がそのための貴重な「道標」として活用されるとともに、両著者のますますのご活躍を期待してやみません。

(文・柏井伸子/(有)ハグクリエイション・口腔科学修士・第2種滅菌技士・歯科衛生士)
[DHstyle 2022年6月号掲載]

歯科診療所のためのエビデンスのあるハイパー感染管理 コストから投資への転換

『歯科診療所のためのエビデンスのあるハイパー感染管理 コストから投資への転換』

[著]
佐藤繭美(歯科衛生士/第一種滅菌技師)
石原宏一(歯科医師/インフェクションコントロールドクター[ICD])

AB判/88頁/オールカラー
小社より好評発売中!
定価(本体5,400円+税)


Information