続・日常臨床のレベルアップ&ヒント67選
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大口蓋動脈図❸ 切歯孔(矢印)切歯孔上顎骨口蓋骨大口蓋孔図❹ 大口蓋孔(矢印)5㎜9.7㎜8.7㎜2㎜10.9㎜図❺ 上顎歯列から大口蓋動脈までの距離。第2大臼歯から犬歯にかけて漸減するが、第2小臼歯部ではやや広くなる2)01 口腔内小手術時に見落としてはいけない局所解剖±2.9㎜)にかけて漸減するが、例外的に第2小臼歯部(13.8±2.1㎜)ではやや広くなる(図5)2)。1.骨形態1)下顎智歯と口底との関係 下顎大臼歯部、とくに智歯部においては外斜線の影響で頰側の骨質が厚く、それに対して歯槽突起が下顎骨体のアーチより舌側に偏って張り出しているため、舌側の骨質は極めて薄い。そのため、挺子の使用法を誤ると骨の破折や穿孔を来たし、歯や歯根を舌側の顎下隙に迷入してしまう恐れがある。2)骨孔①舌側孔 オトガイ舌筋やオトガイ舌骨筋が付着する下顎骨正中部舌側のオトガイ棘付近に舌側孔という骨孔が存在する。この骨孔には、一般的に舌下動脈やオトガイ下動脈の枝が侵入すると考えられている。舌側孔はCBCTで容易に確認することができるため、歯肉弁剝離やインプラント埋入時には事前に位置を把握しておくことが肝要である。 歯槽堤から舌側孔までの距離は、完全無歯顎者の男性で9.90±4.78㎜、女性で15.19±4.87㎜であり、有歯顎者の男性で19.51±4.43㎜、女性で18.81±4.38㎜との報告がある3)。舌側孔の位置や大きさにはかなり個体差があり、また歯槽骨の高さは加齢や歯の脱落に伴って減少するため、同じ個体においても歯槽骨頂から舌側孔までの距離は経時的に変化する(図6)。②オトガイ孔 オトガイ孔は、標準的には第1小臼歯と第2小臼歯の間で根尖から5㎜程度下方の頰側下顎骨に位置している。下顎頰側の膿瘍切開では第2小臼歯の前後1㎝は避けて歯肉頰移行部寄りに切開を加え、オトガイ神経の損傷を避けなければならない。2.神経・血管1)下歯槽神経 下顎管の走行に関しては、下顎孔より下前方に向かい、大臼歯までは骨体の頰舌径の舌側1/3を走行し、第2大臼歯の歯根尖の下方に達したところで外175 下顎

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