続・日常臨床のレベルアップ&ヒント67選
15/26

サージカルガイドの設計a:CTスキャンテンプレート図❶a、b 金属アーチファクトの多いケースでは、造影レジンでマッチングポイントを付与したCT スキャンテンプレートを口腔内に装着してCT 撮影することで、3DCT データ上にマッチングポイント(ピンク)を明示できるa:クロスセクショナルの画像で顎骨に対する頰舌的位置関係やインプラントと皮質骨の干渉などが確認できる図❷a〜c バーチャルプランニング。プランニングソフトウエア上で統合したCTデータ、口腔内スキャンデータ、バーチャルワックスアップを参考にインプラントの埋入計画を立てる。下顎管や隣接歯との位置関係を2D、3Dで確認する2.7㎜b:タンデンシャルビューでは隣接歯やインプラント、下顎管との位置関係、6の根尖病巣などが確認できる01 ガイデッドサージェリーによるインプラント埋入の勘所b:3DCTc:3Dビューではインプラントと下顎管などの位置関係が多方向から確認できるフリーハンドによる埋入と比較して正確性や予知性に優れ、神経や血管、上顎洞などを損傷するリスクを低減すると同時に、一次固定性の向上にも寄与すると報告されている。さらに、骨量が限られた症例でも短いインプラントや傾斜埋入を選択できる可能性があり、広範囲な骨造成を回避あるいは縮小できる点は臨床上大きなメリットといえる。 これらの恩恵を十分に得るためには、バーチャルプランニングの段階で正確かつ包括的な治療計画を立てることが重要となる。まずは補綴主導のコンセプトを徹底し、バーチャルワックスアップに基づいて将来的な上部構造の形態を念頭に置きながら埋入位置・方向・深さを検討する。近年のプランニングソフトではアバットメントを仮想装着し、歯肉縁下の立ち上げやエマージェンスプロファイルを考慮した微細な調整も可能である。また、下顎管や上顎洞、隣接歯根などの解剖学的リスク部位をソフトウェア上で明確にマークし、これらを回避しつつ十分な骨支持を確保できるプランニングを行うことも不可欠である(図2)。 これらのステップを忠実に踏むことで、術中のトラブルリスクを低減させるだけでなく、治療の長期的な安定性を高めることにも繫がる。バーチャルプランニングは、デジタル技術を最大限に活用して患者にとって安全で予後のよいインプラント治療を実現する基盤といえるだろう。 サージカルガイドの設計は、バーチャルプランニングで決定したインプラントの位置を口腔内で忠実に再現するために重要なプロセスである。プランニングソフト上で計画したインプラント上にスリーブを設定し、サージカルガイドの設計を行う。スリーブが粘膜と干渉していると、サージカルガイドが不適合になったり、スリーブの維持が悪くなって術中に脱落することがあるので、欠損部の粘膜と骨のデータを確認して高さを設定する。 サージカルガイドは、十分な強度をもたせるために4~5㎜程度の厚さを確保し、歯とのオフセットを0.1~0.15㎜程度に設定する。とくに、歯列とスリ123

元のページ  ../index.html#15

このブックを見る