続・日常臨床のレベルアップ&ヒント67選
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96第4章 クラウン・ブリッジ図❶ オクルーザルベニアを用いた歯冠修復の概要選択材料の特性、支台歯形態の特徴が、本修復の特徴に関連している図❷ オクルーザルベニアの利点・欠点(他形態との比較)本修復の優位性と注意点は、一部被覆と全部被覆の修復物との比較を行うと理解しやすい東京都・オプティマス デンタルクリニック 麹町  海渡智義1.オクルーザルベニアとは セラミックス技術と接着技法の進歩・普及により、歯冠修復、とくに部分被覆冠の再検討と再定義が行われ、歯質削除量が少なく、咬合関係の回復と維持が容易な臼歯部ベニア修復の有用性が示唆されている1~3)。 図1に、オクルーザルベニアを用いた歯冠修復の概要を示した。本修復方法の臨床的意義は、「咬合面を一層削除した支台歯に、強度の高いセラミックスを接着して置換することで、実質欠損とともに咬合接触や咬合高径を回復し、これを維持すること」といえる。 本修復方法は接着を前提とし、限られた被覆範囲で修復物の維持安定を図るため、接着操作や支台歯形成が重要な要件となる。また、適応に際して留意すべき事項も多いため、臨床例を交えて解説する。2.利点・欠点(他形態との比較) オクルーザルベニアの利点・欠点は、他形態と比較した際の優位点と注意点であることが多いため、図2に、選択することの多い他形態との比較を示した。 インレー・アンレーとの相違点は、咬合面全体を削除するか否かであり、咬合面に修復物と歯質が混在しないことが多くの優位点を生むが、歯質による咬合支持を失うため、咬合関係の再建に注意が必要である。 クラウンとの相違点は、軸面部を形成するか否かであり、削除量の少なさは生体への侵襲を減らし、歯髄炎・歯周炎などの副次的疾病を回避する可能性を高める。また、軸面上部に置かれる辺縁部は清掃性がよいとともに、エナメル質マージンとなるため、接着力が格段に向上するが、軸面部の削除を行わないため、大幅な形態修正や歯軸変更には不向きである。 オクルーザルベニアの概説01オクルーザルベニアを用いた 臼歯部歯冠修復の特長と臨床的ポイント

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