種 類特 性歯周組織への対応・歯周治療への応用78第3章 歯周治療図❶ レーザー光の種類と特性・歯周治療への応用(参考文献1)より一部引用改変)。使用するレーザーの波長の種類によって向いている歯周治療があるが、大きくは組織透過性の高さで分けられる短い波長紫外0.2アルゴン(0.488/0.514)発振物質により波長域が異なる組織透過性が高い(水に吸収されず)軟組織処置、鎮痛効果、生体刺激効果固体レーザー組織透過性が高い(水に吸収されず)軟組織処置、黒色色素に吸収性が高い固体レーザー水への吸収性が高い、表面吸収性(組織透過性が低い)硬組織および軟組織の蒸散が可能固体レーザー水への吸収性が非常に高い、表面吸収性(組織透過性が低い)硬組織および軟組織の蒸散が可能気体レーザー水への吸収性が高い、表面吸収性(組織透過性が低い)軟組織処置半導体レーザーNd:YAGレーザーEr,Cr:YSGGレーザーEr:YAGレーザー炭酸ガス(CO2)レーザー可視近赤外0.51.0Nd:YAG(1.064)半導体He-Ne(0.79〜0.89)(0.633)2.0Er,Cr:YSGG(2.78)Er:YAG(2.94)歯周ポケットの深い範囲の蒸散歯肉切開、歯肉整形、止血、色素沈着除去小帯切除、低出力で疼痛緩和・治癒促進歯周ポケットの深い範囲の蒸散歯肉切開、歯肉整形、小帯切除止血、色素沈着除去(とくにメラニン除去)骨組織の切削、歯石除去(基本的にEr:YAGレーザーと同様の効果を示す)歯周ポケットの浅い範囲の蒸散歯肉切開、歯肉整形、小帯切除、歯石除去、骨組織の切削色素沈着除去、口内炎の凝固層形成歯肉表面の蒸散、止血作用歯肉切開、歯肉整形、色素沈着除去小帯切除、口内炎の凝固層形成中・遠赤外3.010.0(波長㎛)組織透過性レーザー表面吸収性レーザー長い波長炭酸ガス(10.6) 歯科治療に歯科用レーザーが使用されるようになり、現在ではさまざまな機種が販売されている。歯周治療においても、おもに歯石除去や歯周ポケットへの対応、歯周外科治療などで活用されているが、まだ一般的な普及には至っていない。その理由として、機器が高価格なことに加えて各種レーザーの特性による用途の違い、安全な使用方法などが十分に理解されていないことが考えられる。 本項では、各種レーザーの歯科治療での使い分けの概念、歯周治療における応用のポイント、使用例について紹介する。 LASER(Light amplification by stimulated 日本歯科大学生命歯学部 歯周病学講座 沼部幸博 村樫悦子emission of radiation:以下、レーザー)光は、人工的に作り出した光を集めて放射する熱光線で、治療目的とする組織にレーザー照射を行う場合、波長や出力などの違いにより、組織表面や内部に与える影響が異なるため、その理解が重要である(図1)。 各種レーザーの歯科治療、 歯科でおもに利用されているレーザーは波長の違いで分類されるが、それぞれの波長によって特性が異なるため、治療目的も変わる(図2)。 半導体レーザー(波長0.79~0.89㎛)は水への吸収が少なく組織深達性(透過性)に優れ、組織の蒸散や切開、止血などに使用される。高出力で使用する場合(HLLT)と、疼痛緩和や創傷治癒促進のた レーザーとは 歯周治療への応用に必要な知識01歯科用レーザーを用いた歯周治療
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