第1章 歯の移植・再植の基本図❶ 12歳、女児。初診時のパノラマX線写真。上顎4本永久歯欠損、下顎欠損は認めない10第1章 歯の移植・再植の基本 わが国において歯科インプラントは、厚生労働省により、「う蝕、歯周病、外傷、腫瘍、先天性欠如などによって失われた歯、顎骨また顎顔面の欠損に対して、本来あった歯やその他の組織の代わりとして、人工歯根(歯科インプラント:Dental implant)を顎骨や顔面の骨に埋入し、これを支台として義歯やエピテーゼを固定して、顎顔面口腔領域の構造的、機能的ならびに審美的回復を図る治療法である」という定義のもと行われている。一方、歯の移植・再植に関しては、さまざまな学会において個々に定義づけがなされているが、行政による明確な定義が存在しないため、臨床においてまだまだニーズと供給のバランスが取れていないと考えられる。症例 1 本増刊号では、編集委員をはじめとしたStudy Groupによる、歯の移植・再植の臨床を提示するとともに、臨書の勘所についても触れていく。論を始めるにあたり、スタート地点ともいえる、歯の移植・再植の本増刊号での定義について最初に触れていく。1.外科的歯の移動とは 歯の移植の本増刊号での定義として、「外科的歯の移動」という立ち位置で、症例を供覧しながら論を進めていく。▶症例1(図1~8) 患者は12歳、女児。上顎の歯の欠損を主訴とし歯の移植新名主耕平 Kohei SHINMYOZU東京都・新名主歯科・口腔外科医院移植・再植の定義を踏まえて考える 必ず押さえておくべき基本・注意点
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