歯科医院開業バイブル2.0
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148置の届け出など10種類以上の手続きが必要です。これらの手続きは、提供する医療の質と安全性を担保し、国民皆保険制度の一翼を担う機関としての資格を証明するために不可欠です。2.開業準備段階で必要な行政手続き内装工事の契約や医療機器の選定を進める準備段階で、すでに行政とのかかわりは始まっています。この段階での適切な対応が、後の手戻りを防ぎ、スムーズな開業を実現します。1) 保健所への事前相談物件が決まったら、内装設計前に必ず管轄保健所への「事前相談」を行います。理想的には物件契約前の相談が望ましく、構造設備基準を満たせない物件の場合、契約後に判明すると大きな損失に繫がるからです。歯科医院は医療法施行規則に基づく厳格な構造設備基準を満たす必要があります。診療室の区画、エックス線室の防護措置、換気設備、消毒設備などが定められており、とくに診療室の設置基準は各自治体により異なります。ここで重要なのは、開業形態によって注意点が異なることです。テナント開業の場合は既存建物の制約を受けますが、建物を新築する場合は設計段階から基準を満たすよう計画できます。居抜き物件の場合は前医院の設備が基準を満たしているか必ず確認が必要です。M&Aによる承継の場合も、現行基準への適合性を確認する必要があります。さらに、CAD/CAMシステムやレーザー機器などの導入では電気容量の確認が重要です。既存設備では容量不足となることが多く、追加第6章 法規制・行政手続きの最新情報とトラブル回避策歯科医院の開業は、臨床スキルの向上だけでなく「経営」という新たな挑戦の始まりです。その第一歩となるのが、法に定められた手続きと各種契約の適切な管理です。これまで勤務医として働いてきた方にとって、行政手続きや契約書のチェックは事務部門が担当する業務と思われがちです。しかし、開業後はすべてが経営者自身の責任となります。この「経営者としての視点」を早期に養うことが、開業成功の■となります。本稿では、必須となる公的手続きと契約管理の要点を解説します。通常、開業準備に半年から1年を要するため、見落としは計画の大幅な遅延に繋がります。そのため、自身の開業プランに応じた準備が大切です。たとえば、歯科医院には医療法に基づく構造設備基準、ウェブサイトやSNSなどにも厳格に適用される医療広告ガイドライン、診療報酬請求ルールなど、あらゆる面で法的な管理が求められます。飲食店なら保健所への営業許可申請程度で開業できますが、歯科医院では診療所開設届、保険医療機関指定申請、エックス線装1.医療機関に多くの手続きが求められる理由まず理解すべきは、歯科医院が医療という極めて公的なサービスを提供する機関であるという事実です。国民の健康を守る重要な役割を担うため、厳格な規制が課されています。はじめに 開業へのロードマップ−避けては通れない公的手続きの全体像 小畑 真 弁護士法人小畑法律事務所01開業時に必須の公的手続きと 契約管理

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