4. 修復物脱離への対応:「再装着」か「再修復」かの臨床指針と手順図❶ 脱離したメタルインレーとその窩洞。再装着すべきか、それとも再修復すべきか インレーやアンレーに代表される間接修復物の脱離や破折は、臨床において頻発するトラブルのひとつとされる。これらの脱離・破折した修復物の再装着は、再修復と比較して短時間で治療を終えることができ、治療費も抑えられるため、患者にとって負担の少ない手法といえる。一方で、一度脱離した修復物は再び脱離する可能性があることを念頭に置いた処置が求められることも事実である。 実際に筆者らも臨床経験が浅いころに、「とりあえず外れた修復物を付け直す」という対応を行い、その結果、短期間のうちに再脱離を繰り返す症例も経験したことを記憶している。これらの多くは、修復物が脱離・破折した原因の十分な検討が行われていなかったこと、さらに窩洞内面に残存したセメントの除去が不十分であったことに起因していたと考えている。 本項では、脱離・破折した修復物に対して、再装着で対応可能な条件と再修復を選択すべき条件について整理するとともに、再装着の成否を左右する重要なステップである残存セメントの除去について解説する。 修復物の脱離の直接的な原因としては、咬合力や粘着性食品、デンタルフロス操作、打撲などの外力が挙げられる。しかしその背景には、窩洞の保持形態不良、二次う蝕、歯質や修復物の破折、セメントの劣化や溶解といった間接的因子が関与していることが多い(図1)。 本来、適切に設計・装着された修復物は、日常的に口腔内で生じる外力によって容易に脱離するものではなく、間接修復物の10年生存率も90%以上という高い臨床成績が報告されている1)。したがって、修復物が10年も経たずに脱離したという事実は、口腔内で生じ得る外力に対して窩洞形態やセメントの保持力が不足していた、あるいは経時的に低下していた可能性を示唆するサインとして捉える必要がある。1.合着された間接修復物を再装着するか再修復するかの臨床指針 メタルインレー等の間接修復物の装着にはグラスアイオノマーセメントが頻用されるが、セメン39掘江 卓*1 Taku HORIE 小田切ゆかり*1 Yukari ODAGIRI 辻本暁正*1,2,3 Akimasa TSUJIMOTO愛知学院大学歯学部 保存修復学講座*1米国アイオワ大学歯学部 保存修復学講座*2米国クレイトン大学歯学部 総合歯科学講座*3まず「なぜ外れたか」を考える合着された間接修復物(メタルインレー等)の脱離44修復物脱離への対応: 「再装着」か「再修復」かの 臨床指針と手順
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