診断力アップのための口腔疾患Q&A 83
9/23

❶ 創部感染❷ Frey症候群❸ 耳下腺唾液瘻顔面切創からの排液患者 35歳、男性主訴 傷から液が漏れる既往歴 特記事項なし現病歴 ナイフで切りつけられ頰部に切創を負い、当院に救急搬送され縫合処置を受けた3日後、創部より排液がみられたため当科を受診した。現症 全身所見 体格中等度、栄養状態良好。体温36.9℃、倦怠感なし。口腔外所見 左側頰部から耳下腺咬筋部が著明に腫脹し、縫合された切創の下部より透明な漿液が漏出していた(図1)。左側頰部皮膚の知覚鈍麻および開口障害(1横指半)を認めたが、顔面神経麻痺症状は認めなかった。口腔内所見 口腔粘膜に損傷はみられず、とくに炎症所見も認めなかった。画像所見 CT画像にて左側頰部皮下から咬筋が著しく腫脹し、また下顎骨には左側下顎切痕部に損傷も認められた(図2)。臨床検査所見 CPK 748U/L、CRP 0.86㎎/dL。その他、特記すべき異常値なし。図❶ 縫合された創の下部より漿液が漏出(矢印)a:左側頰部皮下から咬筋に著明な腫脹(矢印)図❷ CT画像b:左側下顎切痕部に損傷(矢印)041頰粘膜・頰部の異常最も疑われる疾患名は?1818Q.

元のページ  ../index.html#9

このブックを見る