診断力アップのための口腔疾患Q&A 83
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顎骨内の歯牙様不透過像患者 55歳、女性主訴 右下顎の腫脹現病歴 20年前、某歯科でう蝕治療を行った際、6の埋伏を指摘され、大学病院への受診を勧められたが、症状がないため放置した。初診1ヵ月前、右下顎部に腫脹、疼痛を生じ、かかりつけ歯科を受診し、セフジトレンピボキシル300㎎/dayを6日間処方され改善した。今回、精査加療を目的に当科を紹介され、受診した。なお、7、8歳ごろに下顎前突があり、口腔内装置を約3ヵ月間装着し、改善したというエピソードがある。また、右顔面部に外傷の既往はない。初診時現症 全身所見 体温36.4℃口腔外所見 右側下顎部~顎下部にかけて発赤、腫脹を認めた。口腔内所見 7~4相当頰側歯肉に軽度の発赤、腫脹、圧痛を認めた。7は著明に近心傾斜し、6は口腔内には直接みえなかった。7は動揺著明で、歯周ポケットより血性膿の排出がみられた(図1)。パノラマX線写真所見 6相当骨体部に、不整形な粒状~突起状の石灰化物を伴う6と考えられる歯牙様不透過像を認めた(図2)。CT所見 軸位断では6部に不整形の塊状石灰化物を認め、周囲には帯状の透過像がみられ、その中に粒状の小石灰化像が散在していた。周囲の骨には硬化性変化がみられる(図3)。図❶ 初診時、口腔内写真図❸ 初診時、軸位断CT図❷ 初診時、パノラマX線写真007顎骨の異常最も疑われる疾患名は?❶ 埋伏歯❷ 低位歯❸ 歯牙腫Q.0101

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