診断力アップのための口腔疾患Q&A 83
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❶ 歯肉炎❷ 線維腫❸ メラノーマ❹ エプーリス歯肉の無痛性腫瘤患者 60歳、女性主訴 左側上顎歯肉の腫瘤家族歴 特記事項なし既往歴 子宮筋腫、高血圧、糖尿病現病歴 6ヵ月ほど前に6および7の動揺と同部歯肉の腫瘤を自覚したが、自発痛や接触痛がなかったため放置していた。2ヵ月前に7が自然脱落し、その後に同部歯肉の腫瘤が徐々に大きくなったことを自覚したため、近歯科医院を受診し、精査加療目的に紹介され当科を受診した。現症 体格は中程度で栄養状態は良好であった。顔貌は左右対称、顔色は良好で異常所見は認められなかった。口腔内は、左側上顎大臼歯相当部歯肉に無痛性で境界明瞭、弾性軟の有茎性腫瘤(28㎜×30㎜)を認めた。腫瘤の表面は滑沢で肉芽様の粘膜色を呈し、対合歯の圧痕を認める部分の粘膜色はやや白色を呈していた。残存している6は、軽度の動揺を認めた(図1)。画像所見 6の周囲にわずかな骨吸収はみられたが、辺縁に粗造感はなく円滑であった(図2)。全顎的には歯周病様の骨吸収を認めたが、上顎洞には粘膜肥厚や不透過性の亢進などの異常所見は認められなかった(図3)。図❶ 初診時の口腔内写真図❸ 同、パノラマX線写真図❷ 同、デンタルX線写真107歯肉の異常最も疑われる疾患名は?5151Q.

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