❶ 口蓋膿瘍❷ 粘液囊胞❸ 多形腺腫❹ 粘表皮がん口蓋の無痛性腫脹患者 29歳、男性主訴 左口蓋部の腫脹現病歴 半年ほど前に左口蓋部の腫脹に気づいたが、痛みなどはないため放置していた。その後も大きさなどに変化はなかったが、かかりつけ歯科医に相談したところ、専門医による精査を勧められ、病院歯科口腔外科を紹介された。既往歴 気管支喘息現症 左口蓋粘膜に、直径8㎜大の弾性軟の腫瘤を認める。被覆粘膜は正常で、発赤や潰瘍形成は認めない(図1)。頸部リンパ節腫大は認めない。画像検査の後、穿刺吸引細胞診を行ったところ、無色透明な粘液様の内容液が吸引された。画像所見 パノラマX線写真では患側歯に根尖病巣は認めず、CT画像の軟組織モードで口蓋腫瘤が描出され、骨モードでは同部口蓋骨の辺縁整な圧迫吸収像を認めた(図2)。穿刺吸引細胞診所見 泡沫細胞を多数見る囊胞性背景に、異形の乏しい類円形核の上皮細胞集塊を認める。一部の集塊中には、淡いピンク色の粘液を入れた粘液細胞も見られる(図3)。図❶ 初診時の口腔内所見図❸ 細胞診所見図❷ 同、CT画像所見(骨モード、前頭断)061口蓋・口底の異常最も疑われる疾患名は?2828Q.
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