歯科のための位相差顕微鏡 活用・実践マニュアル
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2歯科における位相差顕微鏡の役割図❶ らせん状菌後半から歯科臨床の現場に導入され、診断と患者指導のあり方を大きく変えていったのです。これにより、細菌叢の状態からリスクを「早期に」「科学的に」把握できる、新しい診療スタイルが生まれました。 近年のBonnerMとCaccianigaPの研究では、位相差顕微鏡を用いることで、歯周ポケット内の細菌叢の動態を生きた状態で観察し、歯周病リスクを早期に把握できることが示されています6,7)。 位相差顕微鏡では、①細菌の形(球菌、桿菌、らせん状菌[図1]など)、②細菌の動き(活発か、おとなしいか)、③細菌の密度(形成状態)を、生きたままリアルタイムで直視することができます。 SocranskとHaffajeeの研究によれば、歯周病の進行には、特定の病原性細菌群、たとえばらせん状菌(図1)やP. gingivalisなど(図2)の増加に伴って細菌叢のバランスが崩れることが大きく関与するとしています8,9)。 このため、位相差顕微鏡を用いて、以下などの細菌の形や動態の変化を観察することで、口の中のリスク状態を早期に察知することが可能です。 とくに、炎症性細菌であるらせん状菌の出現や増加は、歯周組織への破壊的な影響を及ぼすとされており8,9)、こうした徴候を摑むことができれば、治療介入のタイミングをより早く、的確に判断することができます。15位相差顕微鏡で見えること⿠球菌:比較的安定した叢に多い⿠桿菌:増加すると活動性が高まる⿠らせん状菌:歯周病リスクに関連

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