歯科のための位相差顕微鏡 活用・実践マニュアル
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 歯周病は全世界で多くの人が抱える慢性疾患の一つであり、今後もその患者数は増加していくと予測されています。これは、人口の高齢化や生活習慣の変化、そして歯の保存率が向上していることに起因します1)。 しかし、歯周病は適切な予防と早期診断・治療を行うことで、十分にコントロールが可能な疾患です。そのため、科学的根拠に基づいた診療がより重視され、個々のリスクに応じた戦略的なアプローチが求められます。①位相差顕微鏡観察による細菌の「活動性」の評価②歯周ポケット検査(歯周ポケットの深さ、出血の有無など)③X線画像による骨吸収の程度④歯肉の炎症の程度 ①~④を総合的に評価し、歯周病の進行度を「軽度」「中等度」「重度」の三段階に分類します。位相差顕微鏡を活用することで予防歯科において細菌の健康度を可視化できるため、定期健診時に患者さんのリスク評価と予防を的確に指導でき、歯周病の早期発見・治療によって重症化を未然に防げます。 2018年、歯周病の新分類は国際的に「ステージ」と「グレード」の概念に統一されました(表1)2)、ステージⅠ~Ⅳは歯周炎の「重症度」、グレードA~Cは歯周炎の「進行速度」を表します。これに「位相差顕微鏡観察による細菌の活動性評価」を加えると、日常臨床でも歯周病の進行度の分類が容易になります。 多くの歯科医院で歯科衛生士の人材不足が深刻な問題となっている昨今、チー1041「細菌の健康度」の見える化歯周病の新分類と位相差顕微鏡による観察の組み合わせチーム医療への応用予防歯科で活用する

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