歯科のための位相差顕微鏡 活用・実践マニュアル
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1位相差顕微鏡による観察で歯周病診断「できること」と「できないこと」治療前⿠動く細菌がたくさんいる⿠白血球が多い⿠細菌の密度が高い図❸ 治療の効果治療後⿠動く細菌が減る⿠白血球が少なくなる⿠健康な細菌が増えるできます。アメリカの研究では、位相差顕微鏡による白血球の観察が、従来の検査方法よりも正確に歯周病を診断できることが証明されました。その正確性は90.4%と非常に高い数値を示しています1)。 白血球が多く見つかるということは、そこで炎症が起きているという証拠です。これは「体が細菌と戦っている状態」を表しています。3.治療の効果 位相差顕微鏡による観察は、治療の効果の確認にもとても役立ちます(図3)。 わが国の研究でも、「治療後には細菌の数と動く細菌の割合があきらかに減少した」と報告されています2)。また、2024年の最新研究では、病気を引き起こす細菌から健康な細菌へ変化したことを位相差顕微鏡で確認されました3)。4.患者さんへの説明効果 位相差顕微鏡による観察の大きな価値の一つが、患者さんへの教育効果です。わが国の学会でも「プラークが細菌の塊であると、患者さんに位相差顕微鏡を用いて実際に見せることが重要」と述べています4)。 多くの患者さんは、プラークを「食べかす」と思っています。しかし、実際に動いている細菌を見ることで、「これは生きている細菌なんだ」と実感し、歯磨きへの意識が大きく変わります。5.特定の病原菌の発見 位相差顕微鏡では、歯周病に関係の深い特定の細菌も観察できます。⿠スピロヘータ:歯周病の進行と密接に関係⿠原虫:歯周病を悪化させる寄生虫の仲間⿠カビ:口の中に棲み着くカビの仲間 これらの存在がわかることで、より効果的な治療方針を立てることができます。831.細菌の詳しい種類 位相差顕微鏡では、細菌の形と動きしかわかりません。たとえば同じ棒状の細位相差顕微鏡による観察で「できないこと」(図4)

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