2019年、私は父より医院を継承しました。当時の年間売上は約1億7千万円でした。それから7年。現在、医院の売上は7億円を超える規模になりました。数字だけを見れば、急成長と言われるかもしれません。 しかし、私が追いかけてきたのは「売上」そのものではありません。地域の人が本当に困っていることは何か。その期待に応えられているか。その問いを突き詰めた先にあったのが「小児矯正」でした。 私の家は、代々「地域に何を返せるか」を第一に考えてきました。経営の目的は医院の拡大でも、利益の最大化でもありません。地域の人が喜ぶことを提供すること─それが根幹です。刊行にあたって小児矯正は地域課題への回答 歯並びの問題は、単なる審美の問題に留まりません。口呼吸、姿勢、嚥下、睡眠、将来的な抜歯の可能性、そして大人になってからの補綴治療や外科治療に繫がるケースもあります。地域の子どもたちが抱えるこうした課題に、できるだけ早い段階から向き合える医療が必要だと感じました。 小児矯正を導入した理由は、“儲かる診療”だからではありません。地域にとって必要だと判断し、医院の軸に据えました。その結果、医院の構造が変わり、数字にも変化が表れました。理想どおりに進まない現実 理想があっても、小児矯正の運用は簡単には定着しません。導入当初の私は「装置を導入すれば小児矯正は順調に進む」と考えていました。しかし、現実は違いました。 MFTが続かない。Myobrace®が形骸化する。装置が破損する。家庭内マネジメントは崩れる。スタッフの温度差が生まれる。地域連携も理念だけではかたちにならない。頭ではわかっていたはずのことが、現場では次々に壁として
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