次世代に繫ぐ総義歯治療 基礎から最新のテクニックまで
3/14

 時代は令和。歯科医療は、昭和そして平成に経験したことのない転換期を迎えようとしている。 昨今、病院歯科のみならず、一般歯科診療所に来院する無歯顎高齢者の多くに、高度顎堤吸収や顎機能障害に加えて、口腔機能低下や認知機能低下等が認められる。令和における無歯顎補綴治療は、昭和や平成で「難症例」とされたケースから、さらに「超難症例」へ移行していると言っても過言ではない。 また、超難症例の無歯顎補綴治療に取り組む歯科医師を取り巻く環境も変化しつつある。わが国では、歯科医師・歯科技工士の高齢化と人口減少により、将来的に安定した歯科医療供給が困難になることが懸念されている。そのため、国は歯科医療DX(digital transformation)の導入や普及を推進しており、われわれ歯科医師はその対応に迫られている。 こうした背景のもと、筆者自身も、日々進化するデジタル歯科治療に翻弄されながら、超難症例化した高齢者の無歯顎補綴治療に頭を悩ませている。義歯治療経験の少ない若手歯科医師に至っては、超難症例化した高齢者の無歯顎補綴治療に直面し、筆者以上に頭を悩ませているに違いない。 このような問題に対して、解決の糸口になってほしいという想いで、筆者の出身大学で現在も所属する神奈川歯科大学OBによる総義歯治療の講演会を企画し、2024年12月15日、『次世代へ繋ぐ! 義歯治療 ~歴史を背負う者たち~』をメインテーマに開催した。 講演は、本増刊号の執筆者10人により行われ、デンタルダイヤモンド社のご厚意により、講演内容に則した本増刊号の発刊へと繫がることになった。明日からの超難症例の無歯顎補綴治療の一助となれば、幸いである。 最後に、デンタルダイヤモンド社 濵野 優 社長、そして本増刊号の発刊にご尽力いただきました浅山俊輝 様、宮口 城 様に感謝申し上げます。2025年6月ナカエ歯科クリニック前畑 香刊行にあたって

元のページ  ../index.html#3

このブックを見る