2025年６月櫻井善明 林 智恵子 2018年に発刊された前書『なるほどTCH！ 世界一やさしいTCH入門』は、おかげさまで多くの方に読まれてきました。 TCH（上下歯列接触癖）に関する基本的な考え方から、実際に臨床でどのように説明するとよいかまで、できるだけ平易な言葉を用いるように意識して作った前書は、もともと、月刊「DHstyle」の2017年１月号から2018年３月号までの連載に加筆・修正して出版されました。当初、この連載は１年間の予定でしたが、読者からのご意見やご質問が多く寄せられたため、３ヵ月延長した経緯があります。 発刊後、多くの歯科衛生士さんからわかりやすいとのお声をいただきました。とくにベテランの歯科衛生士さんからは、「プラークコントロールはしっかりできているのに治りが悪い患者さんを診て『なぜだろう』と思っていましたが、この本を読んで腑に落ちました」などの貴重な意見もうかがい、とても参考になりました。 とりわけ巻末の症例写真集は、患者さんへの説明にとても役立つと好評です。この説明シートはミシン目に沿って切り取れますので、日常のTCH是正指導時にご活用いただけると幸いです。 加えて、2019年以降はコロナ禍の影響もあり、TCHを取り巻く環境も大きく変わってきたと感じています。みなさんの臨床現場でも破折や脱離といった、「力の悪影響」によるトラブルが増えたという実感があるのではないでしょうか。コロナの不安からくる緊張や、人と話す機会が極端に減ることで、結果的にTCHが増えたことが影響していると考えられます。 そこで、私たちも前書を読み返し、ベースは変えずに、新知見、なかでも質問の多かった「筋肉のコントロール」や「栄養のコントロール」などのTCH対策のヒントとなる項目を新たな章「TCH 応用編」として追加するなどの改訂を行い、“アップデート版”として本書を上梓するに至りました。患者さんの生活習慣の改善にかかわる歯科衛生士の新たな使命として、「TCH是正指導」は重要な役割だと感じています。ぜひ、本書をご活用ください。アップデート版発売にあたって
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