2190東京都・銀座並木通り さゆみ矯正歯科デンタルクリニック81歯科医師CASE舌癖を見逃してしまったケース初診時:7歳1ヵ月、女児(図1)主訴:前歯の叢生改善のみ 患者さんの経済的理由によって治療継続ができなくなりましたが、中断後も成長・発育の経過を追うべきであったと反省した症例です。このとき、主訴の改善にしか注力せず、治療中に見逃していた前方への舌突出、会話時の舌突出は、上顎前歯交換時の特徴であるという誤った認識のままでした。 図1の下顎咬合面写真より、66は舌側傾斜気味で、狭く高い口蓋(吸啜窩が残存:青丸部)、ボリュームのある舌は66の咬合面に乗っており(緑丸部)、舌小帯短縮(赤丸部)、口蓋扁桃肥大(白丸部)がみられました。その他、アレルギー性鼻炎による鼻閉、いびき、夜間途中覚醒、目の下のクマなどがありました。 治療は、固定式急速拡大装置(ハイラックスタイプ:図2a)、上下顎にリンガルアーチ(BWS:Bent Wire System;図2b)、機能的マウスピース装置で行い、主訴は改善しました(治療期間2年3ヵ月)。固定式急速拡大装置(ハイラックス坂本紗有見タイプ)の使用で、アレルギー性鼻炎は少し改善し、夜間の鼻閉による覚醒はなくなったため、目の下のクマも消失し、母親は非常によろこばれました。筆者も主訴の改善で安堵してしまい、今後の成長・発育への注力を提案しなかったことは、後悔と大きな反省点です。 5年後、この患者さんが「出っ歯の歯並びを治したい、治療費を貯めました」と、来院されました(図3)。Ⅱ級上顎前突・叢生・前後的オープンバイト・右側第2大臼歯シザースバイト、口蓋も狭く高く(吸啜窩が残存)、舌はつねに下顎後方に位置していました。舌小帯は短く舌の挙上はまったくできず、会話時も舌を挟み・前に出し、嚥下時には、上顎前歯を押す動きをします。首の安定も悪く、診察中の寝落ちやいびきも気になりました。また、舌突出癖や異常嚥下癖の改善を目的とし、MFTを併用しながら第2期治療を行いました(図4、5)。 2023年12月に44を抜歯しました。来院のたびに、抜歯スペースが舌の影響で広がってしまわMFTを実施した症例
元のページ ../index.html#11