歯内療法の三種の神器 2025-2026
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上顎洞自然孔図❹ φ60㎜×H60㎜であれば上顎臼歯と上顎洞全体をFOV内に収めることが可能60×60(㎜)上顎第1大臼歯ab02 3D Accuitomo F17Dadva+の特徴と臨床019おいて多く用いられるのは小照射野であるφ40㎜×H40㎜か、φ60㎜×H60㎜であろう。通常の根管治療であればφ40㎜×H40㎜で十分だと思われる。φ60㎜×H60㎜は1歯のみを対象とするにはいささか広すぎるが、複数歯の歯根端切除術を行う場合には、術野がちょうどよくFOV内に収まるので使い勝手がよい。また、φ60㎜×H60㎜というサイズは、上顎大臼歯〜上顎洞自然孔までをFOV内に収めることが可能であるため、歯性上顎洞炎における精査に有用である(図4)。当然、反対側や他の副鼻腔群(前頭洞、前部・後部篩骨蜂巣、蝶形骨洞)の観察はできないが、その場合は後述する「ズーム再構成機能」が非常に有用である。3.撮影モード 3DAにはいくつかの撮影モードがあり、撮影目的や患者の状況に応じて使い分けができるようになっている。1)360度スキャンと180度スキャン CBCTはその名のとおり、錐形に放射されるX線で撮影対象部位を周りから照射することにより、対象の三次元的形態を得る装置である。X線が撮影対象部位全体を通る必要があるため、1周させることが基本となる(360度スキャン)。しかし、実際は半周(厳密に言えば、半周+コーン角)すれば撮影対象部位全体の投影データを得ることが可能となるため、半周でも画像の再構成が可能である(180度図❺ aが高精細撮影、bが標準撮影。どちらも360度スキャン、ボクセルサイズ0.080㎜(モリタ社のHPより引用[https://do.dental-plaza.com/search/item/detail/id/5418080000/])スキャン)。180度スキャンの最大のメリットは、360度スキャンと比較して被曝量を低減させることができる点と、撮影時間を短縮することができる点である。とくに、小児や高齢者などの体動によるモーションアーチファクトが発生するリスクの高い患者の撮影に重宝する。360度スキャンと180度スキャンでは、得られる画像の鮮鋭度に差はないが、180度スキャンでは360度スキャンの半分の情報量で画像の再構成を行うため、ノイズの多い画像となってしまう点については注意する必要がある1)。2)高精細撮影 3DAでは、X線の検出器の数が従来よりも多くなっている。標準撮影では、この検出器をビニングさせて撮影するが、高精細撮影ではノンビニングで運用することで、同じ撮影条件であっても検出器の数を増やすことが可能となり、高精細な画像を得ることができる(図5)。しかし、撮影に要する時間は長くなるため、撮影中の患者の体動については細心の注意を払う必要がある。4.再構成機能1)180度再構成 360度スキャンで撮影を行った際、患者の体動があったとする。このような場合、撮影画像にはモーションアーチファクトが生じてしまう。このような場合、3DAでは360度スキャンによって得られた投影データのうち、患者が動かなかった任意の180度

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