010Chapter 0 歯内療法の三種の神器と根管洗浄 2016年11月に書籍として『歯内療法の三種の神器』を発刊後、2022年9月にMOOKとして『歯内療法の三種の神器2023≫2024』を発刊した。それからわずか2年ではあるが、新型コロナウイルスの5類変更に伴い、歯内療法においては三種の神器に限らず、さまざまな器具・器材の新製品が発表・販売されている。ここ数年、学会における企業展示やデンタルショー、対面でのハンズオンセミナーなどが開催されるようになってきた。しかし、インバウンドの影響などによる週末の宿泊費の高騰なども重なり、学会のハイブリッド開催も定着し、以前のように多くの先生方が一堂に会する機会が減少しているのも事実である。 そのような世情を鑑み、このたび本書を企画した。新製品に触れる機会が以前よりも減少している開業歯科医師の先生方が、本書を一読することで、歯内療法の三種の神器や根管洗浄など、歯内療法の最新情報をアップデートできるように構成されている。 歯内療法の「三種の神器」といわれる「歯科用コーンビームCT(CBCT)」、「歯科用マイクロスコープ」、「Ni-Ti製ロータリーファイル(Ni-Tiファイル)」の普及と機械的根管洗浄は、いまや令和の歯内療法の常識となっている。昭和の時代には盲目的な治療を行わざるを得なかった根管治療において、見える治療が可能になったことで術者のストレスは大幅に軽減され、患者には福音となっている。また、CBCT検査、マイクロスコープ下での歯根端切除術、4根管・樋状根などの根管充塡、破折ファイル除去、Ni-Tiファイルによる根管形成などが次々に保険導入され、マスコミでも取り上げられる機会があり、マイクロスコープ下での精密根管治療への患者の関心も年々高くなっている。 しかし一方で、これらの導入コストと保険診療での対価との関係から普及が遅れ、保険治療におけるリトリートメントの頻度がイニシャルトリートメントの頻度よりも高いまま推移しているのも事実である。しかし、今後はこれらのさらなる開発・普及が必然であり、保険診療での適用範囲も増えることが予想される。一方、いまや多くの歯内療法専門医が全国各地で“歯内療法の三種の神器”等を駆使して、かつては抜歯と言われていた歯まで治療して保存しているのも周知の事実である。ぜひ、この機会に歯内療法専門医が使用している器具と使い方を学んで日常臨床に活かしていただきたい。 そこで、「Chapter 1 歯科用コーンビームCT」、「Chapter 2 歯科用マイクロスコープ」、「Chapter 3 Ni-Ti製ロータリーファイル」、「Chapter 4 根管洗浄」、「Chapter 5 バイオマテリアル」、「Chapter 6 トピックス」に分けて、著名な先生方にわかりやすく解説していただいている。 Chapter 1 歯科用コーンビームCT わが国では、2000年にCBCTが薬事承認され、販売が開始された。当初はCBCT専用機であったが、現在はCBCT複合機が主流となり、さまざまなCBCT装置が開発・改良され、販売されている。 そこで、Chapter 1では「複合機の特徴」と「新しいCBCT複合機の機種別の特徴と臨床」について紹介している。代表的な機種として、3D Accuitomo F17Dadva+、Axeos、Planmeca Viso G7、DEXIS オルソパントモグラフOP 3D LX、トロフィーパン スープリーム 3Dの5つを紹介していただいている。日本歯科大学附属病院 総合診療科 北村和夫歯内療法のレボリューション歯内療法の三種の神器と根管洗浄
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