acd 表❶ グライドファインダーによるパスファインディングの留意点。これらに留意してパスの確保と作業長の設定を行うことでNi-Ti製ファイルによる根管形成を安全に効率よく行えるものと考える①根管形態、病態的な変化を考慮する②ファイルモーションとしてターンアンドプルを正しく理解して適用する③つねにファイル先端を意識する③根尖部に向ける力(加圧)を適切にコントロールする④形成の進捗状況に応じてファイルモーションを変化させる⑤ファイルの変形に留意して軸線方向への力の伝達を適切に行う⑥根管の湾曲への対応として適切なプレカーブを与える⑦ファイルの座屈に対応したサイズの選択を行う図❸a〜d 長期にわたって不快症状を呈していた7。形態的には樋状根管であるが、近心と遠心の根管は大きく拡大されていた。接続するイスマス中央部にわずかな陥凹を認め(a)、グライドファインダー#10→Pre013にて根尖孔に至るパスを獲得した(b〜d)。症状は消失した⑧根管洗浄剤、とくにEDTAなどの無機質を脱灰する剤品の併用に注意する⑨ファイル形状を理解して操作に生かす⑩操作に伴う変形や切削効率の低下を絶えずチェックしてファイルを交換する⑪根管洗浄剤の適切な選択⑫根管の追従を手指の感覚として適切に捉える⑬根管を切削する感覚と、それ以外のイレギュラーな切削との違いを手指感覚で捉えるbb07 根管探索用ファイル「グライドファインダー」245して開発されたファイルであり、構造上、先端部の強靱な刃部を利用したパスファインディングに特化したファイルである。そのため、座屈も少なく穿通性も高い。Ni-Ti製ファイルを応用する際の「露払い」的な性格をもつ。したがって、その応用方法はファイルの仕様が最大限に生かされるようにしたい。 ファイルモーションには種々なものがあり、パスファインディングに応用されるが、根管の探索を目的とするグライドファインダーでは、一般的にターンアンドプル(Turn and Pull motion:T&P)が有効である。基本的には、ファイルに対して根尖方向に向かう力を与えつつ、1/4程度の回転を与えてファイルの食い込み(拘束)を確認後に引き抜く、この操作の繰り返しである。 表1に、グライドファインダーによるパスファインディングの留意点をまとめたので、参考にされたい。 グライドファインダーによるパスファインディングが有効であった症例を紹介する(図3、4)。患者は43歳の女性である。他院で抜髄を行ったのち、症例供覧
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