図❶ ブライトビジョン3200 R2。ブライトビジョンシリーズのハイエンドモデル062Chapter 2 歯科用マイクロスコープ ブライトビジョン3200 R2(図1)は、ペントロンジャパン社のブライトビジョンシリーズのなかでも、とくに高い精度と機能を標準装備したフラッグシップモデルのマイクロスコープである。搭載されるのは「モータドライブ式のズーム&オートフォーカス」、「フリームーブ電磁ロックシステム」、「4Kカメラ」など、これまでコストパフォーマンスに優れたブライトビジョンシリーズの開発で培われた技術をもとに開発された最新の装備を、一台に集結したハイパフォーマンスモデルとなっている。 歯科用マイクロスコープ(Dental Operation Microscope:DOM)は、1993年にアメリカのペンシルベニア大学歯学部において世界初のエンドサージェリーに関するシンポジウムが開催されたことがきっかけとなり、世界中の歯科医師からその有用性が注目されるようになった。その後、多段階の倍率をもち繊細なポジショニングが可能なモデルへと改良が進められ、1996年に米国歯内療法学会(American Association of Endodontists:AAE)と認定委員会(Commission of Dental Accreditation:CODA)が専門医教育プログラムにDOM研修を必須とすることを決定したことで、全世界的にDOMを使用した根管治療が主流となるべく変革の時代へと歯車が動き出すことになった1)。 一方、日本国内の歯科医院におけるDOMの普及率は、2009年時点で3%以下(歯科機器・用品年鑑:㈱アールアンドディ)と決して高くはなかった。これは、DOMの有用性に対する日本の歯科医師の認知度にもよるが、何よりも日本の健康保険制度下で根管治療のために高額なDOMを導入するには、あまりにも費用対効果が低かったことが最大の理由といえるだろう。 そこで、2011年のDOMメーカー別の普及率を見ると、ヨーロッパやアメリカのメーカーがシェアの多くを占めている(図2a)。これらのメーカーはカメラやレンズの製造に関しては長い開発の歴史と技術を有し、販売されるDOMは価格も含めて他に比類のないハイエンドモデルばかりであった。 しかし、3年後の2014年になると、ペントロンジャパン社のブライトビジョンをはじめとする日本のメーカーが発売するDOMがシェアを拡大している(図2b)。とくに、2010年に発売されたブライトビジョンの初期モデルは標準価格180万円(税別)と低価格であるにもかかわらず、スムーズな可動域と優れた機能を携えた極めてコストパフォーマンスの高いマイクロスコープであったと記憶している。このように、ブライトビジョンは日本の歯科医療事情にマッチした新しい方向性をもったDOMとして、東京都・橋爪エンドドンティクス デンタルオフィス 橋爪英城シリーズ最高峰 ブライトビジョンシリーズ誕生の背景03ブライトビジョン3200 R2の特徴と臨床
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