超入門 JET System矯正 Ⅰ級叢生4444抜歯編
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22 従来のワイヤー矯正やマウスピース矯正には、痛みや見た目、通院の負担など、患者にとって少なからず不安がつきものでした。しかし、デジタル技術と医療の進化が融合するいま、矯正治療は大きな転換期を迎えています。その先頭を走るのが矯正治療ソリューションソフトウェアの「Moon Aligner System(ムーンアライナーシステム)」です。  カリフォルニア大学ロサンゼルス校の前教授Won Moon先生と長崎大学歯科矯正学分野講師だった浜中 僚 先生によって開発されたMoon Aligner Systemは、画像管理や分析、診断、資料作成やセファロオートトレース・重ね合わせ、デジタルセットアップ・プランニング、アライナー、MSE、インダイレクトボンディングなど多様な用途に利用できます。さらに、外科矯正にも対応しており、顎変形症手術用スプリントの作製もできます。 とくに注目すべきは、その「精密な診断と治療計画の設計プロセス」です。最初に行う口腔内の 3Dスキャンでは、機種に依存せず、STLであればどのメーカーのデータでもアップロードが可能です。また、CBCTのDICOMデータもSureSmile ソフトウェア(デンツプライシロナ)のように機種を制限することなく、ほとんどの機種が使用できます。 DICOMデータとSTLデータをMoon Aligner Systemにアップロードしてデジタルセットアップの準備を始めると、データに問題がない場合は30分程度でセットアップ可能な 3Dモデルを構築します。これには本当に驚きました。10年以上SureSmileによる矯正診断を行ってきましたが、3Dシミュレーションデータが準備されるまでに7日、遅いときは10日もかかっていました。それがなんと30分でできるようになりました。感動以外の何者でもありません。 また、AUTOモードの利用により、瞬時にセットアップモデルの構築が可能です。これにより、患者の咬み合わせや歯の傾き、顎骨内の歯根の位置までを正確に把握できます。さらに、AIによる解析結果をもとに歯科医師が科学的根拠に基づいた治療計画を立案し、最終的な歯並びのシミュレーション画像を患者さんと共有することで、治療の全体像を事前に確認できます。 秀逸なのが、顎変形症手術用スプリントです。手術前の 3DシミュレーションChapter 2 初診・検査・診断・治療計画Moon Aligner Systemとは02Moon Aligner Systemを活用する

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