2026年保険改定対応 かかりつけ歯科医のための口腔機能低下症マニュアル
8/13

502章 口腔機能低下の診断基準となる7項目•会話で聞き返される(滑舌が悪い)•会話の早さが遅い•摂食時の食べこぼし•食事に時間を要する•咀嚼や嚥下がしにくい•嚥下後の食物の残留•うがいがうまくできない•義歯の食物残渣やプラーク付着•舌苔や口蓋へのプラーク付着図❶ 舌口唇運動機能低下を疑う臨床症状概念と検査方法 舌口唇運動機能とは、構音や摂食嚥下に必要な舌や口唇(一部、頰も含む)の運動機能を意味している。舌や口唇は筋によって構成され、舌運動は舌下神経、口唇や頰は顔面神経によってそれぞれ支配されている。そのため、疾病、老化、廃用を原因として、舌口唇運動機能が低下する可能性がある。とくに、脳卒中などの脳血管疾患、認知症、パーキンソン病等、高齢者に多い脳神経機能が低下する全身疾患の既往は、たとえ舌と口唇を構成する筋が正常であっても、その運動機能を低下させる可能性がある。また、フレイル、サルコペニア、頭頸部手術の後遺症なども、舌や口唇の運動に影響を及ぼし得る。つまり、舌口唇運動機能低下とは、病的な老化や疾病、廃用等を原因として、脳神経系の機能低下や口腔周囲筋の機能低下が生じた結果、口腔機能のうち、とくに舌や口唇の運動において、速度、巧緻性、可動域などが低下した状態である。舌口唇運動機能低下を疑う臨床症状としては、会話が聞き取りにくい(滑舌が悪い)、摂食時の食べこぼしがある、摂食に時間を要する、咀嚼や嚥下がしにくい、嚥下後に食物が口腔内(舌上や舌側・唇側・頰側の口腔前庭)に残留する、などが挙げられる(図1)。とくに、話すスピードが遅くなった、聞き返されることが多い、食べ物が口に残る、食べるのが遅くなった、ぶくぶくうがいがしにくいなどは、患者からたびたび聞かれるエピソードである。また、義歯に付着した食物残渣や、舌苔の付着、口蓋へのプラークの付着なども、舌口唇運動機能低下を疑うよいヒントとなる。舌と口唇は外部から観察しやすく、摂食時だけでなく発音時にも運動させることができるため、視診によって安静時の状態を確認したうえで、運動時の可動域や巧緻性、速度を視診や聴診によって検査するのが一般的である。口腔機古屋純一 Junichi FURUYA昭和医科大学歯学部 口腔健康管理学講座 口腔機能管理学部門舌口唇運動機能低下04

元のページ  ../index.html#8

このブックを見る