特集 歯周基本治療が楽しくなる! 患者さんの“やる気”を引き出すコミュニケーションのヒント 37家族などの支援を受けないと生活できない状況となっています(図1)。これは厚生労働省の「健康寿命と平均寿命の差」というデータであきらかです。 このような状況になるのは慢性的な問題を原因とする病気に罹患するからであり、これらの病気の発症は口腔の問題と関係しているものもあります。予防医学の観点では、病気にならないためには、まず口腔が健康であることであり、それを守る歯科衛生士の役割は重大だといえるでしょう。 委細はまたの機会にご紹介するとして、みなさんが日常臨床で歯科衛生士としての職務を全うし、よい成果を出せるよう、本稿が役立つことを願っています。歯科衛生士は、お口のお掃除屋さんではありません。患者さんの“ピンピンコロリ”の人生を支援する、予防医療の担い手であると再認識していただき、患者さんの伴走者としての支援を期待しております。 私たちは学校や研修で学んだ情報を基礎として、患者さんへ医療介入しています。みなさんは新しい知見を得るたびに、それを患者さんに適応しようとします。しかし、患者さんが思うように動いてくれない、うまくいかないなど、臨床での悩みは日々絶えないと思います。 「モチベーション」は“動機づけ”という意味です。このモチベーションを考えるときにまず大切なことは、「誰が、誰を、動機づけするのか」を正しく理解することです。多くの人は、医療者が患者さんを動機づけすると考えていますが、これは正しくありません。モチベーションとは、「自分が、自分自身を、動機づけする」ことです(図2、3)。つまり患者さんを動機づけするのは、患者さん自身だということです。 さらに、このモチベーションを患者さんに行ってもらうために、医療者は「コミュニケーション」という道具を利用します。この道具を正しく使えば、モチベーションの獲得は決して難しいことではありません。コミュニケーションは、誰もが日常的に使っている道具ですが、医療現場においてはこれを技術として身に付け、活かしてもらえればと思います。みなさんがコミュニケーションという道具をうまく使いこなし、患者さんのモチベーションを支援できれば、日常のさまざまな悩みが解決することでしょう。モチベーションとコミュニケーションモチベーションって何のこと?モチベーションって何のこと?人が動く原理原則を知ろう人が動く原理原則を知ろう
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