124 DHstyle 2025 SUMMER1. 歯科衛生士課程の教員と学生の比率を高めて学生の卒業を早める2. 歯科学生が基準とした能力を修了した後に歯科衛生士として開業できるようにする3. 他国の歯科医師が米国で歯科衛生士免許を取得できるようにする図❶ 2024年11月にADAで採択された決議案とは健康を維持し病気を予防するために、歯と補綴物の構造からバイオフィルム(歯垢)、歯石、外因性の汚れを歯肉縁上および歯肉縁下から除去すること」1)と定義されており、この定義を満たすProphyのみが、患者さんの健康にとって価値があると説明されています。World研修コースの受講でScope 前述のADAで採決された3つの決議とは別に、“Coronal Scaling(コロナル・スケーリング)と呼ばれる歯のクリーニングを行うためのライセンスを歯科助手に与える”という法案が、多くの州で可決される動きがあります。これは、Coronal(歯肉縁上)の歯石除去を歯科助手が行えるようにする法案です。いくつかの州では、歯科医師会によって承認された研修コースを歯科助手が修了することで、歯科医師の直接の監督下で歯肉縁上スケーリングを実施するライセンスを取得できるようになりました。 本稿ではイリノイ州の法律2)を説明します。◦BLS(Basic Life Support:一次救命措置)またはそれに相当する資格を有しており、CPR(心肺蘇生法)、AEDの使用、気道管理など、救命に不可欠なスキルを学んだ証明書が必要である◦少なくとも2,000時間の臨床経験が必要になり、承認されたコロナル・ポリッシング(歯面研磨)認定コースを修了した歯科助手が、コロナル・スケーリングコースを受講する資格がある 米国では歯科衛生士不足問題が深刻化しています。この問題に対応するため、ADA(米国歯科医師会)は、2024年11月に次の3つの決議を採択しました(図1)。即座にADHA(米国歯科衛生士会)は、これらの決議案が医療水準を低下させる可能性があるとの懸念を表明しました。 歯科分野に関するすべての法案は、各州の歯科医師会に提出され、そこで法案の運用に関する規則が作成された後、州の司法長官の承認を得て制定されます。法律は州によって異なり、これらの法案も各州の歯科医師会で採決された後、法律制定に向け議論されます。 私たち米国の歯科衛生士が行う診療の多くは、Prophylaxis(以下、Prophy)と呼ばれる診療です。日本ではまだ馴染みがないかもしれませんが、Prophyは予防的診療として位置づけられており、スケーリングとポリッシング(歯面研磨)により歯面(歯肉辺縁から露出した歯面、そして露出していない歯肉縁下の歯面)から炎症の元となる要素を取り除く予防的な処置とされています。ADHAのポジションペーパーでは、「Prophylaxis歯肉縁上スケーリングができるCoronal Scaling(歯肉縁上スケーリング)
元のページ ../index.html#18